神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

―――――…えぇっと。

…目の前が怒涛の展開続きで、頭の中の整理がつかないんだけど。

…終わった、ってことで良いんだよ…な?

「ま…マシュリ?」

いつもの、人間の姿に戻ったマシュリに声をかけた。

「うん」

「マシュリ…何だよな?」

「そうだよ」

…マシュリらしい。

さっきの姿は何なんだとか、何で竜になれたんだとか、色々と聞きたいことはあるが…。

「…身体、毒…大丈夫か?」

出てきた言葉は、これだけだった。

「…気になるのは、それなの?」

「だって…苦しそうだったから…」

人間だったら即死するレベルの毒なんだろ?

今のマシュリは、けろっとしてるように見えるけど。

身体の中には、まだ毒が残ってるかもしれないじゃないか。

解毒の必要はないのだろうか。

「大丈夫だよ。もう身体の中に毒は残ってない」

「本当に…?大丈夫なのか?」

「うん。平気」

…あ、そう。

じゃあ…まぁ、いっか。

いつの間にか、腕の噛み傷も完治してるようだし…。

怪我がないならそれで良し。

しかも、よく考えたら、これ。

「…あれ?決闘…俺達の勝ちじゃね?」

もしかして、いやもしかしなくても。

改造オルトロスを撃退し、イルネを戦意喪失に追い込んだのだから。

戦闘不能って、戦意喪失も含まれるだろ?

この絶望的に不利な決闘で、まさかストレート勝利を収めるとは。

やはり正義が勝つように出来てるんだな、世の中って。

ざまぁないぜ、ナツキ様。

さぞや悔しそうな顔で地団駄踏んでるだろうと思って、ナツキ様の方を向いたが。

そこで、審判のマミナ・ミニアルが、とんでもないことを口にした。

「勝者、アーリヤット皇国代表、イルネ・メルクリアス」

は…。

…はぁっ!?

俺は、思わず耳を疑った。