神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

ナツキ様が皇王になってから、彼はそれまで繋がりの薄かった諸外国と、積極的に国交を広めた。

その甲斐もあって、現在アーリヤット皇国は様々な国と友好関係にある。

が、ルーデュニア聖王国だけは例外だ。

早い話ナツキ様は、別の国と仲良くする代わりに、ルーデュニア聖王国と手を切ったのである。

これまで仲が良かったはずの両国の関係は、あっという間に冷え込んだ。

フユリ様が正式に、ルーデュニア聖王国の女王に就任したときだって。

就任式典の会場に、ナツキ様の姿はなかった。

席は用意したのだ。だが、ナツキ様は来なかった。

まるで妹への当てつけのように。

それどころか、ナツキ様は時間をかけてルーデュニア聖王国のネガティブキャンペーンを実施。

その成果(?)が功を奏し、ナツキ様のみならず、アーリヤット皇国の国民達までもがルーデュニア聖王国を毛嫌いする始末になった。

国交は最小限に留められ、王室同士は口も利かない関係になった。

フユリ様はこのような事態に対して、何の対策も取らなかった訳ではない。

何とかアーリヤット皇国との関係を取り持とうと…兄との関係を取り持とうと…必死に友好関係の回復を呼びかけようとした。

しかし、ナツキ様にそんな気は全くなく。

いくらフユリ様が呼びかけようと、徹底的に無視を決め込んだ。

結果出来上がったのが、今の両国の関係だ。

次第にルーデュニア聖王国の民も、アーリヤット皇国を毛嫌いするようになり。

あれほど仲の良かった両国は、互いに互いを睨み合う関係になった。

「それが、国を巻き込んだ兄妹喧嘩の結末か…」

「国民はとばっちりだねー。巻き込まれる方の身にもなってみれば良いのに」

…本当にな。

俺もそう思うけど、でも国のトップに立つ者同士。

お互いに譲れないものがあるんだろう。

もし、この兄妹の関係が違っていたら。

きっと今の両国の関係も、大きく変わっていただろうに。

そんなifを想像しても仕方ないが、つい考えずにはいられない。