瞬きをする暇もなかった。
…今の動きは何だ。
さっきのバーサーカーも恐ろしく速かったけど、今のオルトロスはその比ではない。
素早いというより、まるでワープしたかのようだった。
「…私の実験台になるつもりがないなら、さっさと潰れて頂戴」
イルネの手元に、4枚のカードが光っていた。
…もしかして、あれで改造オルトロスを強化したのか…?
そんな…無理矢理ドーピングしたかのような…。
「マシュリ…!マシュリ、大丈夫か…!?」
「…」
オルトロスの牙に噛みつかれたマシュリは、噛まれた腕を抑えて顔をしかめていた。
牙が深く食い込んだ傷口は、肉が抉れて血が溢れていた。
なんて…鋭い、鋭利な牙。
ケルベロスの危機察知能力のお陰だろうか。咄嗟に回避したお陰で、何とか致命傷は避けられたようだ。
これなら、まだ戦える…か?
…しかし。
「…っ…」
マシュリは、その場にがくんと膝をついた。
「…!?マシュリ…!?」
改造オルトロスの牙は、ただ鋭いだけではなかった。
「一度噛みつかれたわね。もうおしまいよ」
得意げにイルネがそう言って、そのときに気がついた。
マシュリの左腕についた噛み傷が、濃い紫色に変色しかけていることに。
まるで、改造オルトロスの粘液が染み込んだような…。
「…!まさか、あれ…!」
「あら、ギャラリーの皆さんもお気づき?」
悪戯がバレた子供さながらの、茶目っ気たっぷりの表情で。
イルネは、楽しそうにくるりとこちらを向いた。
その余裕綽々の顔、何度見ても腹が立つ。
一回ぶん殴ってやりたい。そんな衝動に駆られる。
「お前…マシュリに、毒を…!?」
「えぇ」
言い訳も否定もせず、イルネはにっこり笑って頷いた。
毒…あの濃い紫色の変色は、毒が侵食している証。
正々堂々の決闘試合に、毒を持ち込むとは…!
…まぁ、元々、正々堂々の勝負には程遠いルールではあるけども。
それを差し引いても、毒を使うなんて卑怯過ぎる…!
「ケルベロスのキメラは強力だから。いかに私の最高傑作と言えど、油断すると負けてしまうかもしれないでしょ?私、自分の作品が負けるところなんて、絶対見たくないの」
「それで…毒を使ったって言うのか?オルトロスの牙に毒を塗って…」
「あら、それは違うわ。この毒は、オルトロスの体内で精製された毒なのよ。だから、魔物相手にはよく効くわ。人間相手の毒だと、魔物には効きにくいもの」
オルトロスの体内で…って。
オルトロスという種族は…スズメバチやマムシみたいに、元々体内に毒を持っている生き物、なのか?
すると、イルネはまたしても、聞いてもいないのにべらべらと喋ってくれた。
「本来、オルトロスの体内に毒物は一切存在しないわ。でも、人間の血を混ぜて改造を進めていくうちに、オルトロスの分泌液から毒が抽出されるようになった」
…つまり、この毒はオルトロスが本来持っている…天然の毒じゃなくて。
イルネがオルトロスを改造している過程で生まれた、人工的に作られた毒ってことなのか?
それじゃあ、解毒の方法も分からないじゃないか。
…今の動きは何だ。
さっきのバーサーカーも恐ろしく速かったけど、今のオルトロスはその比ではない。
素早いというより、まるでワープしたかのようだった。
「…私の実験台になるつもりがないなら、さっさと潰れて頂戴」
イルネの手元に、4枚のカードが光っていた。
…もしかして、あれで改造オルトロスを強化したのか…?
そんな…無理矢理ドーピングしたかのような…。
「マシュリ…!マシュリ、大丈夫か…!?」
「…」
オルトロスの牙に噛みつかれたマシュリは、噛まれた腕を抑えて顔をしかめていた。
牙が深く食い込んだ傷口は、肉が抉れて血が溢れていた。
なんて…鋭い、鋭利な牙。
ケルベロスの危機察知能力のお陰だろうか。咄嗟に回避したお陰で、何とか致命傷は避けられたようだ。
これなら、まだ戦える…か?
…しかし。
「…っ…」
マシュリは、その場にがくんと膝をついた。
「…!?マシュリ…!?」
改造オルトロスの牙は、ただ鋭いだけではなかった。
「一度噛みつかれたわね。もうおしまいよ」
得意げにイルネがそう言って、そのときに気がついた。
マシュリの左腕についた噛み傷が、濃い紫色に変色しかけていることに。
まるで、改造オルトロスの粘液が染み込んだような…。
「…!まさか、あれ…!」
「あら、ギャラリーの皆さんもお気づき?」
悪戯がバレた子供さながらの、茶目っ気たっぷりの表情で。
イルネは、楽しそうにくるりとこちらを向いた。
その余裕綽々の顔、何度見ても腹が立つ。
一回ぶん殴ってやりたい。そんな衝動に駆られる。
「お前…マシュリに、毒を…!?」
「えぇ」
言い訳も否定もせず、イルネはにっこり笑って頷いた。
毒…あの濃い紫色の変色は、毒が侵食している証。
正々堂々の決闘試合に、毒を持ち込むとは…!
…まぁ、元々、正々堂々の勝負には程遠いルールではあるけども。
それを差し引いても、毒を使うなんて卑怯過ぎる…!
「ケルベロスのキメラは強力だから。いかに私の最高傑作と言えど、油断すると負けてしまうかもしれないでしょ?私、自分の作品が負けるところなんて、絶対見たくないの」
「それで…毒を使ったって言うのか?オルトロスの牙に毒を塗って…」
「あら、それは違うわ。この毒は、オルトロスの体内で精製された毒なのよ。だから、魔物相手にはよく効くわ。人間相手の毒だと、魔物には効きにくいもの」
オルトロスの体内で…って。
オルトロスという種族は…スズメバチやマムシみたいに、元々体内に毒を持っている生き物、なのか?
すると、イルネはまたしても、聞いてもいないのにべらべらと喋ってくれた。
「本来、オルトロスの体内に毒物は一切存在しないわ。でも、人間の血を混ぜて改造を進めていくうちに、オルトロスの分泌液から毒が抽出されるようになった」
…つまり、この毒はオルトロスが本来持っている…天然の毒じゃなくて。
イルネがオルトロスを改造している過程で生まれた、人工的に作られた毒ってことなのか?
それじゃあ、解毒の方法も分からないじゃないか。


