「…でも、この決闘に勝てば」
イルネは歪んだ笑みを浮かべて、マシュリを舐めるような視線で見上げた。
「決闘に勝ったご褒美に、ナツキ様はあなたを私にくれるかしら?」
「…さぁね」
冗談じゃないぞ。
例え決闘に負けたからって、マシュリをお前の実験体になんかさせるものか。
…そのとき。
「…ふざけるな」
怒りの滲んだ声で呟いたのは、俺でもマシュリでもなく。
「魔物は、お前の実験動物じゃない。彼らは人間と同じ、自分の意志があって、自由があって、尊厳がある。それを勝手に踏みにじって…こんなおぞましい姿に作り変えるなんて、絶対に許されない」
「…吐月…」
この場で唯一の召喚魔導師である吐月。
彼は、これ以上魔物の命が弄ばれることを許せなかった。
優しい吐月のことだ。
自分の相棒であるベルフェゴールと、目の前のオルトロスを重ねたのだろう。
無理もない。
「一体どれだけの数の魔物を犠牲にした?お前の勝手な実験のせいで、どれだけの召喚魔導師と、その契約召喚魔を苦しめた?その罪の重さが、分かってるのか?」
「…」
しかし。
吐月の正論は、イルネには全く響いていなかった。
イルネは胡散臭そうに、馬鹿にしたような顔で吐月を一瞥した。
「何を馬鹿なことを…?偉大なる発見の前に、下らない倫理観など足枷でしかないのに」
足枷だと?
罪のない魔物と召喚魔導師の犠牲の上に、いくら偉大な発見がなされようと。
そんな発見、何の栄誉も誇りもない。
「それに、おぞましい姿だなんてとんでもない。とっても素敵でしょ?元の姿よりずっと神々しく、威厳のある姿じゃない?」
「…」
…何言ってんだ、この女。
どうやら、非常に歪んだ美的感覚の持ち主らしいな。
俺達みたいな一般人じゃ、匂いだけで気を失いそうになる。
「こんなに強くなれたんだから、彼だって幸せのはずよ。ねぇ?」
しかも、勝手にオルトロスの幸せを決めつけている。
…幸せな訳ないだろ。お前の勝手な実験に付き合わされて、それで自分の意志を殺されて。
俺には、あのオルトロスが苦悶の表情を浮かべているようにしか見えない。
こんな地獄の苦しみから、早く解放して欲しいと。
「一体何を怒って…。あ、もしかして、あなたも召喚魔導師なの?」
「…!」
「やっぱり!そうなんだ」
吐月の反応を見て、吐月が召喚魔導師だと知ったイルネは、恍惚としてこちらを見つめた。
「良いなぁ…。決闘の代表団に選ばれるくらいなんだもん。きっと強い魔物と契約してるんだろうなぁ…」
吐月と契約している魔物は、冥界最上位クラスのベルフェゴールだ。
そりゃあイルネにとっては、「最高」の実験体になり得ることだろう。
「…私が決闘に勝ったら…君も一緒にくれないかなぁ…。ナツキ様に強請ってみようかなぁ…」
…馬鹿を言うな。
決闘の勝敗など関係ない。マシュリも吐月も、お前の玩具になどさせるものか。
…すると。
「…もう充分だ」
マシュリが、イルネを睨んでそう言った。
イルネは歪んだ笑みを浮かべて、マシュリを舐めるような視線で見上げた。
「決闘に勝ったご褒美に、ナツキ様はあなたを私にくれるかしら?」
「…さぁね」
冗談じゃないぞ。
例え決闘に負けたからって、マシュリをお前の実験体になんかさせるものか。
…そのとき。
「…ふざけるな」
怒りの滲んだ声で呟いたのは、俺でもマシュリでもなく。
「魔物は、お前の実験動物じゃない。彼らは人間と同じ、自分の意志があって、自由があって、尊厳がある。それを勝手に踏みにじって…こんなおぞましい姿に作り変えるなんて、絶対に許されない」
「…吐月…」
この場で唯一の召喚魔導師である吐月。
彼は、これ以上魔物の命が弄ばれることを許せなかった。
優しい吐月のことだ。
自分の相棒であるベルフェゴールと、目の前のオルトロスを重ねたのだろう。
無理もない。
「一体どれだけの数の魔物を犠牲にした?お前の勝手な実験のせいで、どれだけの召喚魔導師と、その契約召喚魔を苦しめた?その罪の重さが、分かってるのか?」
「…」
しかし。
吐月の正論は、イルネには全く響いていなかった。
イルネは胡散臭そうに、馬鹿にしたような顔で吐月を一瞥した。
「何を馬鹿なことを…?偉大なる発見の前に、下らない倫理観など足枷でしかないのに」
足枷だと?
罪のない魔物と召喚魔導師の犠牲の上に、いくら偉大な発見がなされようと。
そんな発見、何の栄誉も誇りもない。
「それに、おぞましい姿だなんてとんでもない。とっても素敵でしょ?元の姿よりずっと神々しく、威厳のある姿じゃない?」
「…」
…何言ってんだ、この女。
どうやら、非常に歪んだ美的感覚の持ち主らしいな。
俺達みたいな一般人じゃ、匂いだけで気を失いそうになる。
「こんなに強くなれたんだから、彼だって幸せのはずよ。ねぇ?」
しかも、勝手にオルトロスの幸せを決めつけている。
…幸せな訳ないだろ。お前の勝手な実験に付き合わされて、それで自分の意志を殺されて。
俺には、あのオルトロスが苦悶の表情を浮かべているようにしか見えない。
こんな地獄の苦しみから、早く解放して欲しいと。
「一体何を怒って…。あ、もしかして、あなたも召喚魔導師なの?」
「…!」
「やっぱり!そうなんだ」
吐月の反応を見て、吐月が召喚魔導師だと知ったイルネは、恍惚としてこちらを見つめた。
「良いなぁ…。決闘の代表団に選ばれるくらいなんだもん。きっと強い魔物と契約してるんだろうなぁ…」
吐月と契約している魔物は、冥界最上位クラスのベルフェゴールだ。
そりゃあイルネにとっては、「最高」の実験体になり得ることだろう。
「…私が決闘に勝ったら…君も一緒にくれないかなぁ…。ナツキ様に強請ってみようかなぁ…」
…馬鹿を言うな。
決闘の勝敗など関係ない。マシュリも吐月も、お前の玩具になどさせるものか。
…すると。
「…もう充分だ」
マシュリが、イルネを睨んでそう言った。


