神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

「…何なの?こいつら…」

ルディシアは怪訝そうな顔をして、令月とすぐりを胡散臭そうに見つめた。

まぁ、知らない人から見たら、そんな反応になるわな。

腰を抜かさなかっただけ、肝が据わっていると言える。

「大丈夫、敵じゃないから」

「味方でもなさそうだけど?」

「…味方なんだよ…これが」

「…?」

味方なら何で床下に潜むんだ、というルディシアの当然の疑問をスルーし。

話を進めるとしよう。

「何で来たんだ、お前ら」

「ジャマ王国の話が出たから、ここは僕達の出番かなって」

あぁ、そういうこと。

自分達の故郷の名前が出たから、黙って聞いていられなくなったのか。

「それにほら、今ルーデュニア聖王国とジャマ王国の関係が悪くなったのは、間接的に俺達のせいでもあるじゃん?」

と、すぐり。

「だから俺達にも関係あると思ってさー」

「…」

…この、馬鹿め。

子供の癖に、余計な気を回すんじゃない。

「お前らは無関係だよ」

「ふーん。でももうここまで聞いちゃったから、この後も聞くよ」

ふざけんな帰れ…と言いたいところだが。

今度は屋根裏に潜まれそうなので、もう諦めて、ここで一緒に話を聞いていけ。

「ジャマ王国と手を組むなんて選択肢が出てくるってことは、そのあーりやっと?っていう国は…」

「神聖アーリヤット皇国な」

「そう。その国は、ルーデュニア聖王国と仲が悪いの?」 

令月の質問は非常に簡潔で、そして的を得た質問だった。

…そうなんだよ。悲しいことにな。

「仲は…良くはないな。むしろ、お互い対抗意識があると言うか…終始睨み合ってる関係だ」

「ふーん。じゃあ仲悪いんだ」

「…」

…まぁ、そうだな。

そんなはっきり言わないで欲しかったが…。

「アーリヤット皇国って何処にあるの?」

「ルーデュニア聖王国の向かい側だよ。海を挟んだ向こうにあるんだ」

「ふーん…。ジャマ王国と違って隣接した国でもないのに、何でそんなに仲悪いの?昔喧嘩でもした?」

すぐりがそう尋ねた。

…子供の質問って、無邪気で残酷だけどさ。

無理にオブラートに包んで話す必要がないから、むしろ楽なのかもしれないな。

「…喧嘩と言うか…仲違い、だね」

この話については、シルナが一番詳しい。

そのシルナが、簡潔にそう答えた。

「仲違い?」

「元々はね、両国は今みたいに、睨み合った関係じゃなかったんだ。友好国として仲良くやってきたんだけど…」

「なんかムカつくことでもされたの?国王同士が喧嘩したとか?」

…すぐり。

お前、ちょっと鋭過ぎないか?

その通り。

ルーデュニア聖王国と神聖アーリヤット皇国が、現在の関係に至った経緯。

その根底にあるのは…国を挟んだ兄弟喧嘩なのである。