神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

そりゃまぁ、こっちもこうして、ルディシアとマシュリに教えてもらってはいるけど。

でも、教えてもらったところで、バーサーカーやマッドサイエンティストを相手に、どう対策すれば良いんだ?

弱点まで分かる訳じゃないもんな。さすがに…。

それに…。

「本当に、そのバーサーカーやマッドサイエンティストが対戦相手になるかどうかは分からないよね」

と、吐月が言った。

そうなんだよ。そこがまた…不確定要素の一つなんだ。

だって、『HOME』には他にも、マシュリやルディシアが知らないメンバーがあくさんいるんだろう?

そいつらが出てくるかもしれないじゃないか。

もしかしたら、マッドサイエンティストにも勝る、もっと強力な能力を持った者が出てくるかも。

こっちは常に初見殺しを迫られる訳で、咄嗟に対応出来なかったら即死だな…。

一方的に、所謂「分からん殺し」を食らう可能性がある。

それだけは避けたい。

「対戦相手さえ分かれば、僕がそいつの心を読んで、弱点とか探れるんですけどね」 

ナジュが腕組みをして言った。

「それは…。そうして欲しいところだが、そんな時間ないはないだろうな」

ナツキ様側だって、ナジュという読心魔法の使い手がいることは知っている訳で。

当然、ナジュの読心魔法対策くらいは考えているはずだ。

対戦相手はギリギリまで教えられないだろうし。

対戦相手が決まったら、猶予を置かずにすぐ決闘が始まるはずだ。

ナジュに心を読んでもらう暇はない。

「いっそ、仕掛けられる前に仕掛けたら?決闘が始まるなり、初動で確実に相手を仕留める、どう?」

令月の提案である。

実に暗殺者らしい発想である。

令月やすぐりなら、それが可能だろうな。

と言うか…実際、いつもやっていることなんだろうし。

相手が「分からん殺し」を強いてくるなら、そうなる前にさっさと決着をつけてしまう。

対戦開始のホイッスルが鳴るなり、対戦相手に隙を与えず、最初の一撃で仕留める。

こうすれば、敵がどんな能力を持っていようと関係ない。

能力を発動させる前に、決着をつける。

今回は、その作戦もアリかもしれないな。

戦いがズルズルと長引けば長引くほど、敵の能力が分からない俺達は、相手の術中に嵌まる一方だもんな。

…しかし、その作戦にも難点がある。

「悪くはないと思うが、問題は、その初撃で仕留められなかったときどうするか、だな」

と、ジュリスが言った。

…まぁ、そうなったときは悲惨だよな。

何せ、こっちは最初の一撃に全てを懸けて攻撃したんだから。

それを防がれてしまったら、その後は完全に、相手のターンだ。