神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

結局その夜は、眠ったのか眠ってないのか、よく分からない状態で。

うつらうつらしてる間に、夜が明けて朝になった。

「おはよう、羽久…。眠れた?」

「いや…寝た気がしねぇけど。おはよう…」

熟睡には程遠かったよ。

全く眠れなかった訳でもないんだけどな。

その一方で。

「…zzz…」

ベリクリーデは、だらしなく寝乱れたパジャマ姿で、枕を抱きしめたまま爆睡していた。

…この状況で、これほどぐっすり眠れるとは。

すげー胆力。

「…俺はベリクリーデを尊敬するよ」

「いや、尊敬しなくて良い。こいつはただ、状況を理解してないだけだから」

俺の呟きを聞きつけたジュリスが、すかさずそう言った。

あ…そうなのか…。

「おい、起きろベリクリーデ!ミーティングするぞ!」

「むにゃむにゃ…。じゅりす〜、そこはだめ〜…みんなの前で…」

「どういう夢を見てるんだよ。誤解を招く寝言やめろ!」

ジュリスは、ベシッ、とベリクリーデの脳天をはたいていた。

…まぁ、ベリクリーデのことはジュリスに任せるとして…。

「おはよう、吐月…。眠れたか?」

「微妙だな…。正直、あまり寝た気がしない」

吐月も俺と同じく、熟睡出来なかったらしい。

それが普通だよなぁ。

しかし。

「僕はいつも通り、精神世界の中でリリスとイチャイチャしてきましたよ」

「寝ていようが喚いていようが、朝は平等に来ますからね。緊張している時間が惜しいというものです」

「僕はどんな状況でも眠れるよ」
 
「暗殺者時代は、三徹くらいは当たり前だったもんねー。寝られるときに寝ないと」

ナジュ、イレース、令月、すぐりの順で、四人共平然としていた。

誰もがお前らみたいに、鋼の心臓を持ってる訳じゃないんだよ。

控え組は熟睡出来ても、代表組の俺には無理だ。

すると、そこに。

「ふぁぁ…。おはよ…」

キュレムがあくびをしながら、ルイーシュを引き連れてやって来た。

「おはよ。お前達は眠れたか?」

「あぁ、うん。俺は緊張して眠れなかったんだけどさ、横でルイーシュが爆睡してるもんだから、なんか馬鹿馬鹿しくなって。気づいたら寝てたわ」

そうか。羨ましいな。

眠れなかった俺のメンタルが弱いみたいじゃないか。

違うから。こいつらが心臓に毫毛生えてるだけだよ。