神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

「そうか…。じゃ、安心して寝る…。…のは、やっぱり無理そうだな…」

とても眠れる気がしない。

このまま朝まで、ずーっと悶々色んなことを考えてしまいそうだ。

それなのに。

「ふわぁ…。ジュリス、眠いー」

「…お前はこんなときでも、脳天気な奴だな…」

ベリクリーデは眠そうにあくびをして、こっくりこっくり船を漕いでいた。

羨ましいよ。俺もそんな風に、堂々と構えていられれば良いのに。

「考えても仕方ないことは、考えない方が良いよ。時間の無駄だから」

「そーそー。最悪ルーデュニア聖王国が負けたとしたって、俺達の命が奪われる訳じゃないし。どーにでもなれくらいに思ってたらいーよ」

決闘に参加しない元暗殺者組が、そう言って励ましてくれたが。

それは励ましにはなってないぞ。

どうにでもなったら駄目だろ。

「あのな…。もっと真面目に考えろよ」

「真面目に考えたら、何か状況が好転するの?」

しないけど。

「それより、さっさと寝た方が良いよ。睡眠薬が嫌なら、峰打ちしようか?」

「…遠慮しとくよ」

それはそれで永眠しそうなんだって。やめろ。

「えっと…。それじゃあ、リラックス効果のある回復魔法でもかけようか?」

天音がそう申し出た。

それだ。

「天音…。俺は今、お前がいて良かったと切実に思ってるよ…」

「そ、そんな大袈裟な…。…緊張するのは分かるけど、あんまり力を入れ過ぎると実力を発揮出来なくなるから。適度にリラックスしてね」

ありがとう、天音。

お前の存在が、現状唯一の癒やしだよ。

天音がリラックス効果のある回復魔法をかけてくれたお陰で、何とか熟睡…、

…は出来ないにしても、ある程度肩の力は抜けそうだ。