神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

決闘が行われる、前日の夜。

俺達ルーデュニア聖王国代表団は、ミナミノ共和国側が提供してくれたホテルの一室に集まっていた。

現在部屋の中に集まっているのは、十人の代表メンバーに加えて、補欠兼応援団として。

令月、すぐり、ナジュ、イレースの四人も一緒に来ている。
 
令月とすぐりは留守番してて欲しかったのだが、こうなったら最後まで付き合うよ、と言ってついてきた。

多分、あわよくば自分が代表になっても良いとか思ってるんだろう。

そうはさせないからな。

「今から、既に緊張するな…」

明日の今頃には、もう決闘終わってるんだぜ。

とても想像出来ない。

「明日の為に、ミーティングとかしておくべきだろうか?」

と、吐月が提案した。

ミーティングか…。ぶっちゃけ今更何を話し合ったところで、どうしようもない気がするが…。

気休めでも、何も心の準備をしないよりはマシか? 

しかし。

「いや…。ミーティングは明日の朝にして、今夜はゆっくり寝て、体調を整えた方が良いと思う」

天音がそう答えた。

さすが、イーニシュフェルト魔導学院の保健室の先生。

「ゆっくり寝るって言っても…。緊張して眠れる気がしないよ、俺は」

「眠れないの?良かったら、睡眠薬でも飲む?『アメノミコト』で使ってるものだけど」

ありがとう、令月。その気持ちは嬉しいが。

「遠慮しとくよ…」

『アメノミコト』印の睡眠薬なんて、うっかり永眠しそうで怖いからな。

「明日のことはさておき、まずは今夜の心配をするべきなのでは?」

と、ルイーシュが言った。

「今夜?」

「だって、ミナミノ共和国はアーリヤット皇国側に与してるんでしょう?決闘の前に、このホテルを爆破されるんじゃないですか?」

恐ろしいことを言うなよ。

有り得なくはないのが、余計恐ろしい。

「それはさすがに…。スポーツマンシップに反しまくってるだろ…」

「これから生死を賭けた戦いをしようっていうのに、スポーツマンシップを期待する方が間違ってますよ」

正論だな。

さすがに、寝ている間に爆破は勘弁して欲しいよ。

すると。

「爆発物の匂いはしないから、ホテルごと爆破される心配はないと思うよ」

人間形態のマシュリが、持ち前の鼻の良さを発揮。

そうか。それならひとまず、爆破される心配はないな。

更に。

「死体に周囲を探らせたけど…。ホテルの周りに伏兵とかもいなさそうだね」

と、嬉しい報告をしてくれるルディシア。

夜なのを良いことに、早速現地のゾンビ軍団を使役して、ホテルの周りをパトロールしてくれたらしい。

幸い、無事に朝を迎えることは出来そうだな。