神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

他のメンバーに関しては。

「おっ…。本当に天音さん、選ばれてますよ。おめでとうございます」

ナジュが天音に言った。

おめでたいことなのか?これ。

「僕の分も頑張ってくださいね」

「う、うん。任せて…」

「いよいよ、天音さんのトゥルーフォームが皆々様の目の前で披露される日が来るんですね。とても楽しみですね!」

「…そんなことを楽しみにしないで…」

…??

さっきから、天音のトゥルーフォームって何の話?

つーか、天音は回復魔法の方が得意なはずなのに…。本当に代表に選んで大丈夫なのか?

回復魔法の他には、光魔法が多少得意だと聞いてはいるが…。

そりゃ、対戦相手の意表を突くには有効かもしれない。

回復魔法しか使えないと見せかけて、実はそれだけじゃないって…。

しかし、果たしてそう上手く、こちらの術中に嵌まってくれるだろうか?

「…ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

マシュリが、片手を上げて口を開いた。

マシュリも代表に選ばれてるな。何気に。

でも、お前は選ばれて欲しくないな。

お前に何かあったら、生徒達が悲しむ。

「マシュリ君…ごめんね、君を選んで…。『HOME』の…かつての仲間と戦わせるようなことを…」

「いや、それは別に良い。そうじゃなくて…」

昔の仲間と戦うことに対して、躊躇いを覚えているのかと思ったが。

そうではなく。

「僕が代表に選ばれるのは構わない。元々アーリヤット皇国との揉め事は、僕らが持ち込んだようなものなんだから。その責任は取る」

企んだのはナツキ様であって、お前は1ミリも悪くないけどな。

「だけど、ルディ…。…ルディシアを代表に選んで大丈夫なの?」

「え?」

マシュリが気にしているのは、自分のことではなくルディシアのことだった。

そういや、ルディシアも代表に選ばれてるな。

さり気なく名前が書いてある。

「何で?ルディシアも強いだろ」

ネクロマンサーだぞ?死体が襲いかかってくるんだぞ?

正直、もう二度と相手にしたくない。

しかし、マシュリが言いたいのはそういうことでもなく。

「それは知ってる。でも、彼の真価が発揮されるのは夜だ。対して決闘の時間は午後。条件が良いとは言えない」

「…あ…」

…そういや、そうなんだっけ。

学院の中にお化け…ならぬ、ルディシアが操る死体が現れたのも、夜の時間だったし…。

令月やすぐりと同じで、ルディシアも夜行性なんだっけ…。

おまけに、恐らく対戦することになるであろう相手は、『HOME』の軍属魔導師になるはず。

『HOME』と言えば、ルディシアとマシュリの古巣。
 
夜にならなければ真価を発揮出来ないという、ルディシアの弱点を…奴らは知っている。

その弱点を突いて、ここぞとばかりにルディシアを対戦相手に選んできそう。

「シルナ…どうする?」

ルディシアは変更するか?

他に誰か…。…無闇とかに頼んでみる?

引き受けてくれそうな気がする。