神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

「じゃあ…クュルナは何でそんなに、暗い顔をしてるんだ?」

決闘を引き受けてくれたのに、まだ何か不都合なことが…?

「暗い…顔をしていますか?私…」

「…かなり…」

「…そうですか」

…ごめん。気が塞ぐから暗い顔すんな!って責めたい訳じゃないんだよ。

「ナツキ皇王は何て言ってきたの?」

「決闘を引き受ける代わりに、あれこれ条件つけてきたんじゃないの?」

令月とすぐりが、順番に尋ねた。 

年上のクュルナにも全く物怖じしない。

しかも。

「…はい、その通りです」

当たりなのかよ。

「やっぱねー。そんなことだろーと思った」

勝手に納得するな。

条件だと…?決闘の?

「どういう条件をつけてきたんだ…?」

「まず…決闘の開催地、日時はナツキ様が決めさせてもらうと…」

「…」

成程。

決闘は引き受けてやるが、決闘の主導権を握るのは自分だと。

くっそ生意気な…。

「それだけではありません。決闘の審判を下す立会人や、詳しい決闘の条件まで…全てナツキ様が決めると言っています」

「…!」

…なんてことだ。

決闘を提案したのはシルナなのに、決闘について具体的に決めるのは全部、ナツキ様がやるってことか?

それはいくらなんでも…勝手が過ぎるのでは?

「日時はまだしも、決闘の開催地を勝手に決められるのは不味いよ…」

「審判を向こうが決めるのもズルいですよね。絶対、アーリヤット皇国側に有利な場所で、アーリヤット皇国側に有利なジャッジをする審判を選ぶに決まってますから」

天音とナジュが言った。

「その他の詳細な条件…。勝ち負けの判定や、互いが決闘に賭ける条件まで、アーリヤット皇国が決めるって言ってるんでしょう?」

「はい…」

「全く対等ではありませんね。この時点で、我々はもう負けたようなものじゃないですか」

イレースは、きっぱりとそう言った。

相変わらず…容赦のない物言いである。

しかし、否定出来ないのが辛いところ。

「この条件を呑めないなら、決闘は受けない…とのことです」

クュルナが暗い顔してる理由が分かったよ。

それならいっそ、決闘なんて受けない、と断ってくれた方がマシだったかも。

「決闘を受ける条件は、決闘の条件をナツキ様が自分で決めること…という訳ですか」

シュニィは顎に手を当てて、難しい顔で呟いた。

うん、そういうことだな。

ただでさえ不利な状況だったのに、更に絶望感が増してきた。