神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

…すると。

「…ねー、これって、次はもしかして俺達も止められるパターン?」

不満タラタラみたいな顔で、すぐりが聞いてきた。

よく分かったな。その通りだよ。

「当たりだよ。すぐり君、令月君も。君達は決闘には参加させないよ」

「何で?」

そんな不思議そうに首を傾げるな、令月。

「子供だから?」

「そう、子供だから。君達にルーデュニア聖王国の命運を託す訳にはいかないよ」

実力を疑ってるんじゃないぞ、勿論。

そうじゃなくて、国の命運を子供に託すには、あまりに重過ぎるって話だ。

「君達も学院に残って、そして無事に卒業しなさい」

「学院長がいないのに、この学校を卒業してもつまらないね」

俺もそう思うけど、この際贅沢はやめよう。

「それに、二人の強みは、『アメノミコト』で培った隠密行動による不意打ちが基本だよね」

「うん」

「今回は、不意打ちは成功しないよ。おまけに一対一での対戦になるはずだから、二人同時に戦うことも出来ないんだよ」

「あ、そっか…」

気づいたようだ。

暗闇に紛れ、不意打ちで奇襲を仕掛けて敵の首を取る。

それが、令月とすぐりのいつもの戦闘スタイルである。

しかも、令月達が真価を発揮するのは、二人揃って戦うときだ。

この二人がセットで奇襲を仕掛けてきたら、多分俺とシルナでも勝てないってくらい強いと思う。

しかし、それはあくまで、奇襲の条件が揃ったときのみに限定される。

決闘は多分昼間だし、立会人を前に行われる為、暗闇に紛れて奇襲…なんて無理だ。

恐らく決闘は、一対一の形式だろうしな。

ことごとく、二人の強みが生かされない戦いになることが予想される。

真価を発揮出来ないなら、令月とすぐりに出てもらう意味がない。

それに何より、子供にこのような重圧を背負わせたんじゃ、俺達大人の立つ瀬がない。

ってことで、ナジュと天音に続いて、令月とすぐりにも。

ここイーニシュフェルト魔導学院で、大人しく待っていてもらうぞ。

残念だったな。

それから、最後に。

「…ちなみに、僕は決闘に出て良いの?」

マシュリがポツリと尋ねた。

マシュリか…。

「マシュリにもしものことがあったら、また生徒が悲しむからな。お前はもう何処にも行くな」

「…何だか、凄く雑な理由じゃない?」

それは気の所為だ。

お前の脱走癖は俺もよく知っているが、今回はそうはさせないからな。

大人しく学院に残って、イーニシュフェルト魔導学院の可愛いマスコット、いろりとして暮らすんだな。

…ってな訳で。

「結局あれこれ理由をつけて、残るのはいつも俺とシルナだな」

「…他の人に任せるより、ずっと気が楽だけどね」

全くだな。

今度からもう、話し合いとかなしで、何かあったら俺とシルナで対処しようぜ。

なんか、その方が話が早い気がする。