神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

さぁ、どういう反応が出るか。

ネクロマンサーの弱点は喋っても、自分の味方を売るような真似はしたくないか。

こればかりは、イレースが脅しても沈黙を貫くかもしれない…。

と、思われたが。

「『HOME(ホーム)』のこと?それならもう喋ったよ」

ルディシアは顔色一つ変えず、あっけらかんとしてそう言った。

…『HOME』?

…って、何だ?

「喋ったって…シュニィ達にか?」

「そんな名前だっけ?この間まで俺を尋問してた人」

それはシュニィ達だな。

シュニィ達に、既に話したのか。

…意外とあっさりしてんのな。

「でも俺達は聞いてないから、改めてもう一回話してもらうぞ」

「…面倒だな…」

「そう言うな」

喋る気があったんだな。

もっと難航すると思っていたのに…。

ルディシアはどうやら、イレースを前に全面降伏しているらしいな。

「じゃあ…さっき言ってた『HOME』ってのは何だ?」

ホーム…家のことだよな?

何処の家だ?

「あんた達、『HOME』を知らないの?」

「いや、俺は…」

「…聞いたことがある、かも」

と、シルナが言った。

シルナは知ってるのか。

更に、意外な人物も頷いた。

「僕も聞いたことありますね」

ナジュも?

シルナは無駄に長生きしているから、色々な方面に詳しいのはいつものことだが。

ナジュまで知っているとなると…。『HOME』っていうのは何なのか、ますます気になる。

「何です。勿体振ってないで言いなさい」

イレースが言った。

「私の記憶が正しければ…神聖アーリヤット皇国の、皇王直属軍の俗称…だったような」

と、シルナが説明した。

…何だと…?

ここに来て、全く予想もしていない国の名前が出てきた。

神聖アーリヤット皇国、皇王直属軍。

それが、ルディシアの肩書きだったのか。

「間違いありません。僕の記憶とも一致しています」

ナジュがシルナに同意した。

じゃあ、本当に…。

「…」

あまりにも予想外過ぎて、俺は二の句が継げなかった。

これなら「ジャマ王国の『アメノミコト』出身です」と言われた方が、まだ現実味があったことだろう。