神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

「俺もさっきまでビビってたから、人のことは言えないけど…。でも、しっかりしろよ、シルナ。お前がまいた種だ」

俺は、シルナの肩に手を置いて言った。

「こうなったら最後まで、お前に付き合ってやる。俺達に出来ることをやろう」

「…羽久…」

シルナがまいたこの種が、芽吹こうが枯れてしまおうが。

俺達は最後まで、シルナに付き合うよ。

「ちゃんと策があって言ったんでしょう?それを説明すれば良いんです。腰が抜けて言えないなら、僕が代わりに言いましょうか?」

と、ナジュが尋ねた。

あぁ、良かった。やっぱり口から出任せじゃなかったんだ。

ちゃんとシルナなりに、考えがあって言ってたんだな。安心したよ。

そんなことだろうと思ったけど。

「いや…私が説明するよ。私が言い出したことだし」

「そうですか」

じゃあ、教えてくれ。

俺達に与えられた猶予はあまりないから、出来るだけ簡潔にな。

「…と言っても、さっきハクロちゃんに説明した通りだけど…」

おい。

「何だよそれは…。決闘ってのはどういう意味なんだ?」

「そのままの意味だよ…。戦車や大砲で殴り合うより、代表者を決めて、その代表者同士で戦って決めた方が、余計な戦闘をせずに済むから…」

「そりゃ…そうなんだが…」

紳士的な戦争…って、さっきシルナも言ってたもんな。

代表者同士で殴り合ってるんだから、結局戦争やってるのは変わりないんだが…。

「歴史の中で、そのような方法で国同士の問題を解決した例が、何度かありますね」

と、フユリ様が言った。

えっ。そうなのか?

「えぇ。戦争が長引いて、これ以上両国の犠牲を生まない為に、いっそ決闘で決めよう…って」

「そんなことが…」

戦場の最前線で戦う兵士にとっては、例え負けることになろうとも。

それで戦争が終わるなら、どんな方法でも構わないことだろう。