――――――…後で聞いた話だが。

ルーデュニア聖王国の港に、アーリヤット国軍が押し寄せてきたとき。

偶然その時、その場にジュリスとベリクリーデがいたそうだ。

そこで、現れたアーリヤット皇国からの使者を、ジュリスがエスコートして王都に連れて行き。

ベリクリーデが一人港に残って、現場のパニックを鎮める為に尽力したそうな。

更にベリクリーデは伝令を飛ばして、王都にいるシュニィ達に、アーリヤット国軍の来訪を伝えたそうだ。

それを聞いて、俺は奇妙に思ったものだった。

あのぽやんとしたベリクリーデが、よく一人で、現場のパニックを鎮めたものだ。

まるで別人のようじゃないか。

人間、危機に陥ると、突然頭が働き始めるのだろうか。

…それはさておき。

血相を変えたシュニィからの報告を受け。

俺とシルナ、それからナジュも連れて、すぐに王宮に向かった。

何故ナジュも連れて行くのかって?

その、アーリヤット皇国の使者とやらの腹の中を探る為だ。

こういうことにナジュの読心魔法を利用するのは、俺だって望むところではない。

だが、今ばかりは手段を選んではいられなかった。

向こうも、手段を選ばずに攻勢に出ているのだ。

こちらも同じくらい非常識にならないと、とても対抗出来ない。

そこで、ナジュも一緒に連れて、王宮に向かった…、

…の、だが。