一応ナツキ様は、帰りの道中は保証する、と言っていたが。

果たして本当に信用して良いのか、本当に無事にルーデュニア聖王国に帰れるのかと。

帰りの船の中で、俺はずーっとヒヤヒヤしていた。

さすがの俺達だって、大海原に身一つで投げ出されたら、命の危険を感じるぞ。

それだけは嫌だと思いながら、内心ビビリまくりながら船に乗り。

何とも落ち着かない気分で、まぁそのお陰で船酔いとは無縁だったのだが。

帰りの数日間の船旅を終え、無事にルーデュニア聖王国の港に両足をつけたときは。

思わず、魂の抜けるような溜め息を溢した。

「…はぁー…」

「…大きな溜め息だね、羽久」

…そりゃ、そんな溜め息つきたくもなるだろ。

生きて、ルーデュニア聖王国に辿り着いたんだから。

…何とか、帰ってこられたな。

生きた心地がしなかったよ。

あんな危険な綱渡り、もう二度としたくないね。

とりあえず学院に帰って、腰を落ち着けて、しばらく動きたくない。

…が、残念ながらそうは行かなかった。

帰ったら帰ったで、やるべきことは山のようにあるからだ。