神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

…そして、ナツキ様から手紙が届いた二日後。

俺とシルナは、揃ってナンセイ民主共和国行きの船に乗り込んだ。

忙しかったんだぞ、この二日間。

ナツキ様から手紙が届いたことを、フユリ様やシュニィや、各方面に秘密裏に報告し。

フユリ様もシュニィも驚いて、そして両者共に同じことをした。

シルナを説得して、ナンセイ民主共和国行きを止めようとしたのだ。

その気持ちは分かる。

フユリ様のとき、あんなことがあったばかりなのだ。

罠を疑うのは当然だ。

シュニィは、特に強く引き留めた。

「あなたに何かあったら、このルーデュニア聖王国はどうなるんですか」とまで言った。

しかし、シルナの決意は固かった。

シルナがあまりに頑固者…いや、頑なな態度を崩さないのを見て、ついにはシュニィも折れた。

くれぐれも気をつけるようにと、何度も何度も言い含めて…最後には背中を押すようにして、送り出してくれたよ。

本当ごめんな、シュニィ。

フユリ様も似たようなもので、最初は兄が自分ではなく、シルナに手紙を出したことを知ってショックを受けていた。

そりゃそうだ。

自分の申し出は総スルーなのに、シルナには会いたいと手紙を出してくるんだから。

ナツキ様の意図を測りかねて、危険だと警告するのも当然だ。

でも、やっぱりシルナの決意は固くて。

フユリ様も、結局は折れて、俺達を送り出してくれた。

それどころか、「万が一のことが起きたとき、もし何か私に出来ることがあれば、何でもします」とまで言ってくれた。

有り難い申し出だ。

俺達は自分達の意志で、自己責任でナンセイ民主共和国に行くのだから。

万が一のことが起きても、自分達だけで何とかするつもりだった。

でも、やっぱり助けてくれる人がいるというのは、それだけで有り難いものだ。

心強い。

まぁ、基本的には自分達で何とかするつもりだけどな。

何とか…出来るはずだ。シルナと一緒なら。

向かう先のナンセイ民主共和国で、何が待っているのか分からないけど。

一人じゃないなら、どうにも出来るだろう。きっと。

そう信じて、見送りに来てくれた天音やナジュ達に手を振り。

俺とシルナは、ナンセイ民主共和国に向かう航海に出たのだった。