…何はともあれ、無事に三人がルーデュニア聖王国に…そして、イーニシュフェルト魔導学院に戻ってきた。

彼らが言うことには、アーリヤット皇国のナツキ様には、あのヴァルシーナがついているとか。 

ナツキ様が突然、あれほど大胆にルーデュニア聖王国に仕掛けてきた理由が、ようやく分かった。

無断でアーリヤット皇国に忍び込んだ三人を、擁護するつもりはないが。

しかし、これらの情報を、ナツキ様から直接仕入れてきてくれたことには、素直に感謝している。

それはそれ、これはこれだけどな。

無鉄砲なことしやがって。もしナツキ様に捕まってたら、どうするつもりだったのか。

あまりに危険過ぎる綱渡りだった。

三人の命知らず共への説教は、後回しにするとして。

それから事態が動いたのは、令月達がルーデュニア聖王国に帰ってから、一週間が経った頃だった。

ルーデュニア聖王国にある、アーリヤット皇国大使館の職員が、イーニシュフェルト魔導学院にやって来た。

アーリヤット皇王、ナツキ様から送られてきた、一通の書簡を持って。

その書簡こそが、俺とシルナの度肝を抜く元凶となったのである。