神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

つい昨夜のことだ。

「一日の終わりにお楽しみ〜」とか言って、シルナがチョコレートを摘んでいたとき。

一日の終わりじゃなくても、お前は朝から晩までチョコ食ってるだろ、というツッコミを入れる前に。

突然学院に、王宮から緊急の使者がやって来た。
 
びっくりしたシルナが、摘んでいたチョコを床に落っことしていた…のはいつものことだからさておき。
 
その使者から、フユリ様の伝言を伝えられた。

フユリ様が、シルナに直接会って話したいとのこと。 

シルナのしわがれたおっさん顔を見ながら話したいと言うくらいなのだから、これはただ事ではない。

そんな訳で今朝から、俺達はフユリ様のもとを訪ねる支度をしていた訳だ。

…フユリ様は別に、手土産には全く期待してないと思うぞ。

それより彼女が話したいのは…多分…。

「…とにかく、そろそろ行くぞ」

今頃フユリ様は、首を長くして待っていることだろう。

フユリ様を待たせるなんて、なんと畏れ多い。

ちなみに、厳密には俺は呼ばれていない。

フユリ様が話したいと言ったのは、あくまでシルナである。

だから、俺が行ったら邪魔だと思われるかも。

でも、俺は何処であれ、シルナ一人だけを行かせるつもりはないから。

シルナがフユリ様に会いに行くなら、俺も行く。

呼ばれてないのは百も承知。

何なら、俺はシルナの付属品だと思ってくれ。

「お茶しに行くんじゃないんだからな。分かってるか?」

「…分かってるよ…」

渋々ながら、シルナは頷き。

しかし、しっかり手土産の紙袋は握って離さなかった。

それは渡すんだな。何が何でも。

良いよ、もう。好きにしてくれ。

それでシルナの気が済むなら。

イレースや天音、ナジュに、学院のことを任せ。

俺とシルナは、朝からフユリ様のいる王宮を目指して、学院を後にした。