「ふーん…。ナツキ様ってこんな顔なんだー」
『八千歳』は、『アーリヤットタイムス』の第一面をまじまじと見つめながら、そう言った。
一見、悪いことは何も考えなさそうな顔だね。
人畜無害って言うか…。
でも、そういう人に限って性根は大悪党だったりするんだよ。
だからこの人も、そういうタイプなんだろうね。
「妹とはあんまり似てないね」
「だって腹違いでしょ?」
あ、そうか…。それでか。
二人並んで見せても、兄妹だということは分からないかもね。
まぁ皇王にとっては、憎き妹に似ていると言われても嬉しくないだろうけど。
「今日の一面は、どの新聞社もそればっかりだね」
こっちの『アーリヤット・ジャーナル新聞』も、『アーリヤット全国通信』も、一面はナツキ皇王の写真がでかでかと写っており。
彼の無事の帰還を祝い、称える内容ばかりである。
内容も、いかにも彼がサミットの主導者であったかのような文章ばかり。
我らが皇王が、サミットで素晴らしい働きをしてみせた…云々。
随分あくどいことばっかりやってたけど、これが素晴らしい働きなの?
「あの変な条約は、どうなったのかな?」
確かこの人、魔導師を国家で所有しましょう、みたいな条約を結ばせようとしてたんだよね?
あれはどうなったのか。
サミット閉幕までに、各国の賛同を得られたのだろうか?
ルーデュニアに帰ったら、国家所有の魔導師として国の為に働け、と命令されたりして。
しかし…。
「いや…。…どの新聞を見ても、条約が締結したとは書いてないねー」
「じゃ、駄目だったのかな?」
「あ、ほら。ちょこっと書いてあるよ、ここに。条約の正式な締結は持ち越し、って」
なんだ、やっぱり駄目だったんだ。
こんなドヤ顔で帰還したからには、条約を結んで帰ってきたのかと思ったら。
そうでもなかったらしい。
それなのに、このドヤ顔なの?
「持ち越しか…。首の皮一枚繫がったね」
その記事も、もう少し大きく掲載してくれて良かったんだよ。
少しでも国にとって不利な情報は、あまり大々的に報じるつもりはないようだね。
何処の国も、そんなものか。
とはいえ、これがルーデュニア聖王国なら、もう少し起きた事実を客観的に記事にしている…と、思いたい。
そう思うのは、多分僕の贔屓目なんだろうね。
何にせよ、例の条約が締結されなくて、本当に良かった。
「でも、条約の草案は取り下げられてないし。各国で前向きに検討して、年内の正式な締結を目指してるって」
…そう書いてあるね。
「…つまり、本当に首の皮一枚繫がっただけなんだね」
「うん」
かろうじて、今回のサミットでの条約締結を回避出来たってだけで。
条約そのものは、棄却されていない。
それどころか、前向きに検討だって。それも年内に。
つまり、このまま手をこまねいていたら、遠からず条約締結されてしまう訳だ。
余裕ないね。
『八千歳』は、『アーリヤットタイムス』の第一面をまじまじと見つめながら、そう言った。
一見、悪いことは何も考えなさそうな顔だね。
人畜無害って言うか…。
でも、そういう人に限って性根は大悪党だったりするんだよ。
だからこの人も、そういうタイプなんだろうね。
「妹とはあんまり似てないね」
「だって腹違いでしょ?」
あ、そうか…。それでか。
二人並んで見せても、兄妹だということは分からないかもね。
まぁ皇王にとっては、憎き妹に似ていると言われても嬉しくないだろうけど。
「今日の一面は、どの新聞社もそればっかりだね」
こっちの『アーリヤット・ジャーナル新聞』も、『アーリヤット全国通信』も、一面はナツキ皇王の写真がでかでかと写っており。
彼の無事の帰還を祝い、称える内容ばかりである。
内容も、いかにも彼がサミットの主導者であったかのような文章ばかり。
我らが皇王が、サミットで素晴らしい働きをしてみせた…云々。
随分あくどいことばっかりやってたけど、これが素晴らしい働きなの?
「あの変な条約は、どうなったのかな?」
確かこの人、魔導師を国家で所有しましょう、みたいな条約を結ばせようとしてたんだよね?
あれはどうなったのか。
サミット閉幕までに、各国の賛同を得られたのだろうか?
ルーデュニアに帰ったら、国家所有の魔導師として国の為に働け、と命令されたりして。
しかし…。
「いや…。…どの新聞を見ても、条約が締結したとは書いてないねー」
「じゃ、駄目だったのかな?」
「あ、ほら。ちょこっと書いてあるよ、ここに。条約の正式な締結は持ち越し、って」
なんだ、やっぱり駄目だったんだ。
こんなドヤ顔で帰還したからには、条約を結んで帰ってきたのかと思ったら。
そうでもなかったらしい。
それなのに、このドヤ顔なの?
「持ち越しか…。首の皮一枚繫がったね」
その記事も、もう少し大きく掲載してくれて良かったんだよ。
少しでも国にとって不利な情報は、あまり大々的に報じるつもりはないようだね。
何処の国も、そんなものか。
とはいえ、これがルーデュニア聖王国なら、もう少し起きた事実を客観的に記事にしている…と、思いたい。
そう思うのは、多分僕の贔屓目なんだろうね。
何にせよ、例の条約が締結されなくて、本当に良かった。
「でも、条約の草案は取り下げられてないし。各国で前向きに検討して、年内の正式な締結を目指してるって」
…そう書いてあるね。
「…つまり、本当に首の皮一枚繫がっただけなんだね」
「うん」
かろうじて、今回のサミットでの条約締結を回避出来たってだけで。
条約そのものは、棄却されていない。
それどころか、前向きに検討だって。それも年内に。
つまり、このまま手をこまねいていたら、遠からず条約締結されてしまう訳だ。
余裕ないね。


