神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

さて、マシュリ…と言うか、いろりの案内で図書館に到着。

図書館の中で猫を連れているのがバレたら怒られそうなので、風呂敷に包んでこっそり連れて入った。

バレなきゃセーフ。

さすが皇都の図書館。所狭しとたくさんの本が並んでいるけれど…。

「セレーナの図書館の方が、本の数多いね」

と、『八千歳』が一言。

僕も同じことを考えていたところだ。

「街の華やかさは、セレーナと似てるのにね…。本は少ないんだね」

「あ、そーか。魔導書だ、魔導書が一冊も置いてないんだ」

言われてみれば、確かにその通り。

郷土資料や雑誌、小説といった本は充実しているのに。

イーニシュフェルト魔導学院の図書室に置いてあるような、魔導書の類は一切見つからない。

それで本が少ないように思うんだね。

王都セレーナの図書館は、一般書物と同じくらい、魔導書も充実しているから。

「アーリヤット皇国の人は、魔導書読まないの?」

「魔導書そのものはあるよ。けどアーリヤット皇国では、魔導書を読むには、図書館に魔導書閲覧権限の申請をして、許可された人でないと貸出不可なんだ」

風呂敷に包まれたマシュリが、こっそりそう教えてくれた。

特別な許可がないと、魔導書は読めないってこと?

ルーデュニア聖王国では、一般人だろうと魔導師だろうと、大人でも子供でも魔導書を読めるのにね。

アーリヤット皇国は反魔導師国家だから、そんな面倒臭い決まりがあるらしい。

「まぁいーや。用があるのは新聞だし…。新聞は許可なくても読めるよね?」

「そのはずだよ」

「あ、本当だ。あった」

今日だけじゃなくて、2、3日前のものも並んでいる。

「こっちが…『アーリヤット全国通信』、こっちは『アーリヤット産業新聞』…」

「『アーリヤット・ジャーナル新聞』…。『アーリヤットタイムス』っていうのもあるよ」

色々種類あるんだね。新聞。

とりあえず、全国紙っぽい新聞は全部読もう。

「国内で一番メジャーな新聞は、多分『アーリヤットタイムス』だね」

風呂敷の中から、マシュリがアドバイス。

そうなんだ。じゃあそれから読むよ。

まぁ、どれも似たようなこと書いてあるんだろうけど…。

さて、まず今日の第一面は…。

「『サミット閉幕。皇王ナツキ様帰国』だって」

出迎えに来た国民達に、笑顔で手を振る皇王の写真が、でかでかと掲載されていた。

この上なく分かりやすいね。

やっぱり帰ってきてたんだ、この人。