神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

深夜のうちに、僕達はこっそり港町の駅に潜り込み。

マシュリの案内で、皇都エブラン行きの列車を見つけ。

誰にも見つからないよう、薄暗い列車の貨車に乗り込んだ。

そして、そのまま夜明けを迎えた。

無賃乗車した「先客」の存在も知らず、列車はいつものように、朝っぱらから皇都に向かう人々を乗せた。

出発した列車は、定刻通りに皇都エブランに到着。

皇都の駅に辿り着くなり、僕達は身を潜めて、何食わぬ顔をして列車から降りた。

こういうのは、怯えてびくびくしていたら余計に人目につくから。

むしろ堂々と振る舞って、自分達もれっきとした乗客ですが何か?と、ふてぶてしい態度でいた方が、怪しまれずに済むというものだ。

それは経験則だから。

そして、そのような経緯を経て。

「…ここが、皇都エブラン?」

「そうだよ。…久し振りに戻ってきた」

と、マシュリ。

ふーん。ここが皇都…。

「あんな小賢しい王様がいる国の首都だから、もっと殺伐としてるのかと思ってたけど…。意外に賑やかだねー」

『八千歳』は、僕と全く同じ感想を口にした。

僕も同じことを考えてたよ。

何となく…勝手にアーリヤット皇国をジャマ王国と重ねてたから。

アーリヤット皇国の皇都も、ジャマ王国みたいに…街全体が静まり返った殺伐とした都市なのかと、勝手に想像していた。

でも、実際にこの目で見てみると、全然そんなことはなかった。

むしろ、明るくて賑やかで、人通りも多くて栄えていて…。

さながら、ルーデュニア聖王国の王都セレーナのような栄えっぷり。

…それとも、わざと意識してるんだろうか?ルーデュニア聖王国を。

そうだね。ルーデュニア聖王国の女王様と、アーリヤット皇国の皇王様は、実の兄妹だって話だし。

収める国の在り方も、似通っているということなのだろうか。

血は争えないって、本当なんだね。

「突然ここに連れてこられて、ここはセレーナの一画だって言われても、多分疑わないだろーね」

「うん」

それくらい、セレーナとエブランは似ている。

とはいえ、さすがに王都セレーナよりは、ちょっと空気がピリピリする…かな?

王様が、他国の女王様に喧嘩を売ってる状況だからね。

それも無理ないけど。

ここにいるアーリヤット国民達は、自分達の王様が他国の女王様に喧嘩を売っている状況について、どう思っているのだろう?