私の姿を見るなり、部屋の前に立っていた警備員がぎょっとした顔をしていた。
私があまりに険しい表情をしているものだから、恐ろしくなったのだろう。
険しい顔にもなる。あんなことを知らされたら。
「ど…どうなさいましたか?フユリ女王陛下…」
「もう我慢なりません。私を今すぐ、ルーデュニア聖王国に返してください」
私がそう言うと、警備員はうんざりしたように、
「ですから…それは出来ません。国境が封鎖されてるんですよ。ミナミノ共和国の国民であろうとも、外国からのお客様であろうとも、何人たりとも出入国不可なんです」
飽きるほど何度も繰り返した「言い訳」を、またしても口にした。
そうですね。
この不毛なやりとりを、何度繰り返したことでしょう。
でも私は、「駄目だ」と言われたからって、すごすごと引き下がる訳にはいかないんです。
私の肩には、全てのルーデュニア国民の命が乗っているのだから。
私は、彼らの平穏な生活を守る義務があるのだ。
「今、この国を出るのは危険なんです。ホテルから一歩でも出たら、反政府組織のテロリストが…」
…馬鹿なことを。
本当にテロリストに怯えているなら、あなただって、こんなところで私の見張り番なんてしている余裕はないはずだ。
テロリストなど口実で、それどころか先日首都で起きたというテロだって、ミナミノ共和国が仕組んだものなのだろう。
「それに…そう、今ミナミノ共和国の領海内は、酷く天候が荒れているんです。ルーデュニアと違って、ミナミノ共和国は島国ですからね」
「…」
「この時期に無理矢理海外に渡航しようとして、嵐に巻き込まれて行方不明になった人が大勢いるんですよ。ルーデュニア聖王国の王族の方を、そのような危険に晒す訳にはいきませんから」
いかにも、もっともらしく言っているが。
要するにそれは、私をミナミノ共和国国内に閉じ込める口実に過ぎないのだろう。
「構いません。危険なのは百も承知です。渡航中に何が起きようと、全て私の自己責任です。返してください」
「ま、まさか。いくらそうおっしゃられても…ルーデュニア聖王国の女王様を、そんな危険な目に遭わせては、我々の立つ瀬がありません」
「私はすぐにでも戻らなければならないんです。今はサミットが…世界会議が行われているんです。私が参加しなければ、ルーデュニア聖王国は…」
「でも、代理の方が出席なさっているんでしょう?それなら大丈夫ですよ」
何を根拠に、「大丈夫」だと言っているのか。
サミットまでにはルーデュニア聖王国に帰るつもりだったから、私は代理の者なんて用意していなかった。
選ばれた代理人が誰なのか、新聞には詳しく載っていなかったが…。
誰であれ、本当の意味で私の代わりになる者はいない。
事実ルーデュニア聖王国は今、兄に言われっぱなしで、まるで言い返すことが出来ていない状況だ。
無理もない。
私でなければ駄目なのだ。今、ルーデュニア聖王国の危機を救えるのは私しかいない。
だから私は、今すぐ祖国に帰らなければならないのだ。
…最悪の事態が起きる前に。
私があまりに険しい表情をしているものだから、恐ろしくなったのだろう。
険しい顔にもなる。あんなことを知らされたら。
「ど…どうなさいましたか?フユリ女王陛下…」
「もう我慢なりません。私を今すぐ、ルーデュニア聖王国に返してください」
私がそう言うと、警備員はうんざりしたように、
「ですから…それは出来ません。国境が封鎖されてるんですよ。ミナミノ共和国の国民であろうとも、外国からのお客様であろうとも、何人たりとも出入国不可なんです」
飽きるほど何度も繰り返した「言い訳」を、またしても口にした。
そうですね。
この不毛なやりとりを、何度繰り返したことでしょう。
でも私は、「駄目だ」と言われたからって、すごすごと引き下がる訳にはいかないんです。
私の肩には、全てのルーデュニア国民の命が乗っているのだから。
私は、彼らの平穏な生活を守る義務があるのだ。
「今、この国を出るのは危険なんです。ホテルから一歩でも出たら、反政府組織のテロリストが…」
…馬鹿なことを。
本当にテロリストに怯えているなら、あなただって、こんなところで私の見張り番なんてしている余裕はないはずだ。
テロリストなど口実で、それどころか先日首都で起きたというテロだって、ミナミノ共和国が仕組んだものなのだろう。
「それに…そう、今ミナミノ共和国の領海内は、酷く天候が荒れているんです。ルーデュニアと違って、ミナミノ共和国は島国ですからね」
「…」
「この時期に無理矢理海外に渡航しようとして、嵐に巻き込まれて行方不明になった人が大勢いるんですよ。ルーデュニア聖王国の王族の方を、そのような危険に晒す訳にはいきませんから」
いかにも、もっともらしく言っているが。
要するにそれは、私をミナミノ共和国国内に閉じ込める口実に過ぎないのだろう。
「構いません。危険なのは百も承知です。渡航中に何が起きようと、全て私の自己責任です。返してください」
「ま、まさか。いくらそうおっしゃられても…ルーデュニア聖王国の女王様を、そんな危険な目に遭わせては、我々の立つ瀬がありません」
「私はすぐにでも戻らなければならないんです。今はサミットが…世界会議が行われているんです。私が参加しなければ、ルーデュニア聖王国は…」
「でも、代理の方が出席なさっているんでしょう?それなら大丈夫ですよ」
何を根拠に、「大丈夫」だと言っているのか。
サミットまでにはルーデュニア聖王国に帰るつもりだったから、私は代理の者なんて用意していなかった。
選ばれた代理人が誰なのか、新聞には詳しく載っていなかったが…。
誰であれ、本当の意味で私の代わりになる者はいない。
事実ルーデュニア聖王国は今、兄に言われっぱなしで、まるで言い返すことが出来ていない状況だ。
無理もない。
私でなければ駄目なのだ。今、ルーデュニア聖王国の危機を救えるのは私しかいない。
だから私は、今すぐ祖国に帰らなければならないのだ。
…最悪の事態が起きる前に。


