「…まさか、そんなことが…」
侍従が届けてくれた新聞を読んで、私は身体を震わせた。
予想はしていた。このような強引な手段を使ってまで、私を遠ざけておこうとしたからには。
きっと、かなり大胆な計画を立てているんだろうと。
でも、まさかこれほどまでとは。
新聞には、それほど詳しくは載っていなかった。
ルーデュニア聖王国は現在、サミットに参加中の兄、アーリヤット皇王から公然と批難を受けている。
その口実は…アーリヤット皇国から送られてきた外交大使を、人質として監禁している、というもの。
先日、イーニシュフェルト魔導学院のシルナ・エインリー学院長から聞かされた、あのお二人…。
ネクロマンサーのルディシア・ウルリーケさんと、獣人のマシュリ・カティアさん…。
元々は、アーリヤット皇国皇王直属軍、通称『HOME』から送られてきた刺客だったそうだ。
しかし彼らは、兄ナツキに命じられてルーデュニア聖王国に来ただけで。
本気でシルナ学院長の命を狙ってはいなかった。
シルナ学院長から直々に、お二人をルーデュニア聖王国に迎え入れて欲しいと頼まれ。
私は正式に、ルディシアさんとマシュリさんをルーデュニア聖王国の民として迎えることを許可した。
お二人はもう、私の守るべきルーデュニアの民だ。
その二人を…私が人質扱いしていると?
馬鹿なことを。
先に、刺客としてお二人を送りつけてきたのは誰だと思っているのか。
部下に裏切られたのを見るや、勝手に外交大使だと偽って、ルーデュニア聖王国を悪者扱いにするとは。
おまけに、兄がサミットの最中で諸外国に提示した、新しい条約。
世界魔導師保護条約…だったか。
兄は本気で、このような条約を締結するつもりなんだろうか。
魔導師を国家の所有物にして、お金儲けの道具にするような真似を、本気でするつもりなのだろうか。
兄は元々、あまり魔導師に対して好意的な人ではなかった。
だからって…魔導師を国家の所有物にするなんて、決して許されることではない。
本当は、兄にも分かっているのだろう。
この条約が、どれほど非常識で非道なものか。
だからこそ、私のいない間にこの条約を発表したのだ。
私がサミットの場にいたら、確実に反対されるから。
私が反対すれば、サミットに参加している他の親魔導師国家も、ルーデュニアに続いて条約の反対を主張するだろう。
でも、今は…。
根も葉もない嘘の主張で、ルーデュニア聖王国は世界の悪者にされ。
ただでさえ立場が悪くなっているところに、私の不在のせいで、ろくに反対意見を口にすることも出来ない。
…このままでは、ルーデュニア聖王国は為す術もなく。
兄が考えた、この残虐非道な条約を結ばされ、魔導師の皆さんが苦しむ結果になるだろう。
…させてなるものか、そのようなことを。
私の目の黒いうちは、決して自国の民を、便利な道具として貸し借りさせるような真似はしない。
私は立ち上がって、ホテルの部屋の外に出た。
侍従が届けてくれた新聞を読んで、私は身体を震わせた。
予想はしていた。このような強引な手段を使ってまで、私を遠ざけておこうとしたからには。
きっと、かなり大胆な計画を立てているんだろうと。
でも、まさかこれほどまでとは。
新聞には、それほど詳しくは載っていなかった。
ルーデュニア聖王国は現在、サミットに参加中の兄、アーリヤット皇王から公然と批難を受けている。
その口実は…アーリヤット皇国から送られてきた外交大使を、人質として監禁している、というもの。
先日、イーニシュフェルト魔導学院のシルナ・エインリー学院長から聞かされた、あのお二人…。
ネクロマンサーのルディシア・ウルリーケさんと、獣人のマシュリ・カティアさん…。
元々は、アーリヤット皇国皇王直属軍、通称『HOME』から送られてきた刺客だったそうだ。
しかし彼らは、兄ナツキに命じられてルーデュニア聖王国に来ただけで。
本気でシルナ学院長の命を狙ってはいなかった。
シルナ学院長から直々に、お二人をルーデュニア聖王国に迎え入れて欲しいと頼まれ。
私は正式に、ルディシアさんとマシュリさんをルーデュニア聖王国の民として迎えることを許可した。
お二人はもう、私の守るべきルーデュニアの民だ。
その二人を…私が人質扱いしていると?
馬鹿なことを。
先に、刺客としてお二人を送りつけてきたのは誰だと思っているのか。
部下に裏切られたのを見るや、勝手に外交大使だと偽って、ルーデュニア聖王国を悪者扱いにするとは。
おまけに、兄がサミットの最中で諸外国に提示した、新しい条約。
世界魔導師保護条約…だったか。
兄は本気で、このような条約を締結するつもりなんだろうか。
魔導師を国家の所有物にして、お金儲けの道具にするような真似を、本気でするつもりなのだろうか。
兄は元々、あまり魔導師に対して好意的な人ではなかった。
だからって…魔導師を国家の所有物にするなんて、決して許されることではない。
本当は、兄にも分かっているのだろう。
この条約が、どれほど非常識で非道なものか。
だからこそ、私のいない間にこの条約を発表したのだ。
私がサミットの場にいたら、確実に反対されるから。
私が反対すれば、サミットに参加している他の親魔導師国家も、ルーデュニアに続いて条約の反対を主張するだろう。
でも、今は…。
根も葉もない嘘の主張で、ルーデュニア聖王国は世界の悪者にされ。
ただでさえ立場が悪くなっているところに、私の不在のせいで、ろくに反対意見を口にすることも出来ない。
…このままでは、ルーデュニア聖王国は為す術もなく。
兄が考えた、この残虐非道な条約を結ばされ、魔導師の皆さんが苦しむ結果になるだろう。
…させてなるものか、そのようなことを。
私の目の黒いうちは、決して自国の民を、便利な道具として貸し借りさせるような真似はしない。
私は立ち上がって、ホテルの部屋の外に出た。


