神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

急な知らせを受けて、現在聖魔騎士団では緊急会議を開いている、とのことだったが。

「ここです」

クュルナに案内され、聖魔騎士団隊舎で最も大きな会議室に、俺達も足を踏み入れた。

会議室の扉を開けるなり、深刻そうな顔をした面々が席に付き、互いに意見を交わしていた。

「くそっ、八方塞がりじゃねぇかよ」

「こうなることを狙ってたんだろう。どうやら、アーリヤット皇王というのは相当な策士らしいな」

「ただ執念深いだけだと思いますけど」

「勿論、ナツキ様とフユリ様の複雑なご関係については、私も知っていましたが…」

「まさか、ここまでするとは…。仮にも自分の生まれ故郷に対して…」

「生まれ故郷というより…彼にとっては祖国じゃなくて、憎しみの対象なんだよ。国も、フユリ様も」

魔導部隊大隊長達は、口々にそう言い合った。

皆が皆深刻そうな顔してるから、逆に何があったのか聞きづらい。

そんな中、一人、いつもと変わらずぽやんとした顔をして座っているのは。

「…あ、凄く悪い人だー」

多分、説明されても事態をよく理解していない、ベリクリーデであった。

いち早くこちらに気づいて、マシュリを指差した。

気づいてくれてありがとうな。

でも、マシュリを悪い人と呼ぶのはやめてやってくれ。全然悪い人ではないから。

ベリクリーデが俺達の来訪に気づき、他の大隊長達もこちらを振り向いた。

「お前ら、来たのか…」

「…クュルナに呼ばれてな」 

何やら、ルーデュニア聖王国に危機が迫っているそうで。

俺達も微力ながら、この国を守る為に力を尽くそうと思ってな。

「悪いが、俺達はまだ何があったのか詳しく知らないんだ。教えてもらえないか」

「…そうですね、分かりました。私達も状況を再確認する為に、もう一度イチからご説明します」

恐らくこの会議を取り仕切っているであろうシュニィが、静かにそう言った。

「どうぞ、おかけください」

「あぁ。…ルディシアはいないのか?」

クュルナ曰く、ルディシアとマシュリの二人が関わっているそうだが。

マシュリは来たけど、ルディシアの姿は見えない。

「はい…。何処に行かれたのか分からないんです。元々…あまり一つ所に留まる方ではないので…」

「…」

ふらふら出ていって、未だに帰ってこないってことか。

自由な奴だよ。

ルーデュニア聖王国の危機に自分が関わってるって、知ってるんだろうか?

…いないものは仕方ない。

ルディシアなしでも、会議を続けるしかない。

「分かった。…聞かせてくれるか」

「…はい」

と、シュニィは頷いた。