まず一番に狙われたのは、ベリクリーデだった。
「っ、ベリクリーデ!」
「えっ…」
先程、星の剣で斬られたお返しと言わんばかりに。
マシュリは床を強く爪で引き裂き、飛び散ったその瓦礫が、ベリクリーデの身体に直撃した。
「かはっ…」
巨大な瓦礫の破片を、まともに食らってしまったベリクリーデは。
両手の剣を取り落とし、その場に崩れ落ちた。
「…ベリーシュ…!」
ジュリスが呼びかけても、ベリクリーデは立ち上がれなかった。
ベリーシュって、ベリクリーデのことで良いんだよな?
いや、今はそれどころじゃない。
ナジュが倒れ、ベリクリーデが倒れ…。
限界の近いジュリスは、何とか防御魔法陣を展開しているものの、あと何分…いや、何秒持つか分からない。
かく言う俺も、視界が狭窄し、目の前がぐるぐると回っていた。
出血によるダメージが、徐々に身体を蝕んでいるのだ。
もう少し何とかなる…いや、何とかしたかったのだが。
どうやら、限界が近いようだ。
…その時だった。
「…あっ…」
頭の中で、自分の意識が遠退いた。
同時に、冷や汗が背中を伝った。
不味い。
これは…俺が俺でなくなる前兆。
目の前の状況をピンチと判断して、「前の」俺が姿を表そうとしていた。
駄目だ。それだけは。
「前の」俺は、自分とシルナの身を脅かす存在を許さない。
マシュリに対しても、容赦なく牙を剥くだろう。
マシュリを殺してはいけない。あいつは何も悪いことなんかしていないのだから。
「駄目だっ…堪えてくれ…!」
必死に「羽久・グラスフィア」の意識を保とうとする。
しかし、元々俺は「前の」俺の派生人格に過ぎない。
オリジナルの人格である「前の」俺には逆らえない。
それでも何とか抗おう、自分の意識を保とう…と。
余所事に気を取られた、その隙が命取りだった。
「羽久!」
「っ…!」
ジュリスに鋭い声で警告されたときは、既に手遅れだった。
マシュリが放った巨大な魔力の塊を、まともに食らってしまった。
またかよ。
俺は、みっともなく床をゴロゴロと転がる羽目になった。
目の前にバチバチと火花が散って、平衡感覚が掴めない。
手をついて起き上がろうと思うのに、上も下も、右も左も分からない。
「うっ…ぐ…」
意識が遠退いていく。
諦めなきゃいけないって言うのか。マシュリが…こんなに苦しんでいるというのに。
早く立て、羽久・グラスフィア。
お前の痛みなんて、マシュリが今味わっているそれと比べたら、全然大したことないだろう。
一番辛いのはマシュリなんだ。俺が倒れる訳には…。
「ま…しゅ、り…」
俺は何とか首を起こして、でたらめに魔力を放つマシュリを見上げた。
お前を、誰にも殺させない。
誰も、お前に殺させない。
その為に、俺は…。
見境なく周囲を攻撃し続けるその姿は、泣いているようにしか見えなかった。
どうしようもない自分の運命を嘆いて、泣き叫んでいるようにしか。
これ以上泣かなくて良いんだって、マシュリに言ってあげなくては。
…それなのに。
「っ、ベリクリーデ!」
「えっ…」
先程、星の剣で斬られたお返しと言わんばかりに。
マシュリは床を強く爪で引き裂き、飛び散ったその瓦礫が、ベリクリーデの身体に直撃した。
「かはっ…」
巨大な瓦礫の破片を、まともに食らってしまったベリクリーデは。
両手の剣を取り落とし、その場に崩れ落ちた。
「…ベリーシュ…!」
ジュリスが呼びかけても、ベリクリーデは立ち上がれなかった。
ベリーシュって、ベリクリーデのことで良いんだよな?
いや、今はそれどころじゃない。
ナジュが倒れ、ベリクリーデが倒れ…。
限界の近いジュリスは、何とか防御魔法陣を展開しているものの、あと何分…いや、何秒持つか分からない。
かく言う俺も、視界が狭窄し、目の前がぐるぐると回っていた。
出血によるダメージが、徐々に身体を蝕んでいるのだ。
もう少し何とかなる…いや、何とかしたかったのだが。
どうやら、限界が近いようだ。
…その時だった。
「…あっ…」
頭の中で、自分の意識が遠退いた。
同時に、冷や汗が背中を伝った。
不味い。
これは…俺が俺でなくなる前兆。
目の前の状況をピンチと判断して、「前の」俺が姿を表そうとしていた。
駄目だ。それだけは。
「前の」俺は、自分とシルナの身を脅かす存在を許さない。
マシュリに対しても、容赦なく牙を剥くだろう。
マシュリを殺してはいけない。あいつは何も悪いことなんかしていないのだから。
「駄目だっ…堪えてくれ…!」
必死に「羽久・グラスフィア」の意識を保とうとする。
しかし、元々俺は「前の」俺の派生人格に過ぎない。
オリジナルの人格である「前の」俺には逆らえない。
それでも何とか抗おう、自分の意識を保とう…と。
余所事に気を取られた、その隙が命取りだった。
「羽久!」
「っ…!」
ジュリスに鋭い声で警告されたときは、既に手遅れだった。
マシュリが放った巨大な魔力の塊を、まともに食らってしまった。
またかよ。
俺は、みっともなく床をゴロゴロと転がる羽目になった。
目の前にバチバチと火花が散って、平衡感覚が掴めない。
手をついて起き上がろうと思うのに、上も下も、右も左も分からない。
「うっ…ぐ…」
意識が遠退いていく。
諦めなきゃいけないって言うのか。マシュリが…こんなに苦しんでいるというのに。
早く立て、羽久・グラスフィア。
お前の痛みなんて、マシュリが今味わっているそれと比べたら、全然大したことないだろう。
一番辛いのはマシュリなんだ。俺が倒れる訳には…。
「ま…しゅ、り…」
俺は何とか首を起こして、でたらめに魔力を放つマシュリを見上げた。
お前を、誰にも殺させない。
誰も、お前に殺させない。
その為に、俺は…。
見境なく周囲を攻撃し続けるその姿は、泣いているようにしか見えなかった。
どうしようもない自分の運命を嘆いて、泣き叫んでいるようにしか。
これ以上泣かなくて良いんだって、マシュリに言ってあげなくては。
…それなのに。


