…絶対、止めてやるからな。マシュリ。
自分の上司であるリリスを、このように傷つけるなんて、マシュリだって望んでないはずだ。
これ以上は、もうやらせない。
ナジュの為にも、マシュリ本人の為にもだ。
…出し惜しみはなしだ。
俺はポケットからナイフを取り出し、自分の手のひらに突き刺した。
溢れ出した、その血の力で…時魔法を更に強化した。
術者の血の力を捧げれば、一時的に魔法を強化することが出来る。
しかし、出血が続けば、当然俺も無事では済まなくなる。
だから、出来るだけ血の力は使わないようにしたかったが…。
贅沢言ってる場合じゃないからな。
シルナが戻ってくるまで、生徒達が避難を終えるまで、あと何分なのか、何秒なのか分からない。
だが、その一分一秒を繋ぎ続ければ、いずれその時はやって来る。
だから、俺は一分一秒を繋ぐ。
その場しのぎで上等。
「大人しくしてくれ、マシュリ…!」
強化した時魔法のお陰で、マシュリの動きがようやく鈍くなった。
どくどくと出血を続ける手のひらが、焼けるように痛む。
でも、こんな痛みが何だと言うのだ。
マシュリの痛みに、そのマシュリを止める為に、ナジュが受けた痛みに比べれば。
この程度、何と言うこともない。
「…そのまま抑えてて。少し…大人しくしてもらう」
そう言って、ベリクリーデは両手の剣に魔力を込めた。
「夜じゃないから、あまり威力は出ないけど…」
ベリクリーデの剣が、瞬く星の光に輝きを増した。
…凄い威力だ。
大雑把な魔法しか使えなかったはずなのに、いつの間にベリクリーデは、あんな芸当を…。
「ごめんね。少し痛いけど…我慢して」
ベリクリーデの星の剣が、暴走するマシュリの魔力を切り裂いた。
さすがのマシュリも、ただでさえ限界が近い状態で、この一撃は重かったらしく。
悲鳴のような咆哮をあげて、魔力の放出が少し弱まった。
よし、今だ。
「マシュリ、耐えろ…!もう少し…」
更に時魔法を強化して、マシュリの動きを完全に封じようとした。
…しかし、そのとき。
「っ…」
ぐらり、とジュリスが前のめりにふらついた。
それを見たベリクリーデは、急いでジュリスに駆け寄った。
凄まじい魔力の暴走を、ジュリスは一人で防御魔法陣を展開し続け、抑えていたのだ。
倒れるのも無理なかった。
「っ、ジュリス!しっかり…」
「良い、から…。構うな」
「駄目だよ、もう。これ以上は…」
「大丈夫だ。それより…お前も」
ベリクリーデに支えられ、膝をついたジュリスは、なおも防御魔法陣を展開し続けていた。
しかし、ほんの一瞬防御魔法陣が途切れ、更にベリクリーデも、ジュリスを気遣うばかりにマシュリに背を向けた。
全員の緊張の糸が、一瞬だけ途切れた。
その隙を、暴走するマシュリは見逃してくれなかった。
自分の上司であるリリスを、このように傷つけるなんて、マシュリだって望んでないはずだ。
これ以上は、もうやらせない。
ナジュの為にも、マシュリ本人の為にもだ。
…出し惜しみはなしだ。
俺はポケットからナイフを取り出し、自分の手のひらに突き刺した。
溢れ出した、その血の力で…時魔法を更に強化した。
術者の血の力を捧げれば、一時的に魔法を強化することが出来る。
しかし、出血が続けば、当然俺も無事では済まなくなる。
だから、出来るだけ血の力は使わないようにしたかったが…。
贅沢言ってる場合じゃないからな。
シルナが戻ってくるまで、生徒達が避難を終えるまで、あと何分なのか、何秒なのか分からない。
だが、その一分一秒を繋ぎ続ければ、いずれその時はやって来る。
だから、俺は一分一秒を繋ぐ。
その場しのぎで上等。
「大人しくしてくれ、マシュリ…!」
強化した時魔法のお陰で、マシュリの動きがようやく鈍くなった。
どくどくと出血を続ける手のひらが、焼けるように痛む。
でも、こんな痛みが何だと言うのだ。
マシュリの痛みに、そのマシュリを止める為に、ナジュが受けた痛みに比べれば。
この程度、何と言うこともない。
「…そのまま抑えてて。少し…大人しくしてもらう」
そう言って、ベリクリーデは両手の剣に魔力を込めた。
「夜じゃないから、あまり威力は出ないけど…」
ベリクリーデの剣が、瞬く星の光に輝きを増した。
…凄い威力だ。
大雑把な魔法しか使えなかったはずなのに、いつの間にベリクリーデは、あんな芸当を…。
「ごめんね。少し痛いけど…我慢して」
ベリクリーデの星の剣が、暴走するマシュリの魔力を切り裂いた。
さすがのマシュリも、ただでさえ限界が近い状態で、この一撃は重かったらしく。
悲鳴のような咆哮をあげて、魔力の放出が少し弱まった。
よし、今だ。
「マシュリ、耐えろ…!もう少し…」
更に時魔法を強化して、マシュリの動きを完全に封じようとした。
…しかし、そのとき。
「っ…」
ぐらり、とジュリスが前のめりにふらついた。
それを見たベリクリーデは、急いでジュリスに駆け寄った。
凄まじい魔力の暴走を、ジュリスは一人で防御魔法陣を展開し続け、抑えていたのだ。
倒れるのも無理なかった。
「っ、ジュリス!しっかり…」
「良い、から…。構うな」
「駄目だよ、もう。これ以上は…」
「大丈夫だ。それより…お前も」
ベリクリーデに支えられ、膝をついたジュリスは、なおも防御魔法陣を展開し続けていた。
しかし、ほんの一瞬防御魔法陣が途切れ、更にベリクリーデも、ジュリスを気遣うばかりにマシュリに背を向けた。
全員の緊張の糸が、一瞬だけ途切れた。
その隙を、暴走するマシュリは見逃してくれなかった。


