――――――…生まれたときから、誰にも受け入れられないのが当たり前だった。

人が当たり前のように持っている優しさ、愛情、温もり。

それらは僕にとって幻想で、決して手の届かないものだった。

手を伸ばしても追いすがろうとしても、掴むことは出来ない。

来る日も来る日も、僕は同族に罵られ、石を投げられてきた。




「こっちに来るな、バケモノめ!」

「なんて恐ろしい姿だ。まさに罪の姿そのものだ」

「お前のような生き物が、この世に生まれてしまったことが間違いだったんだ」

「生きてきて恥ずかしいと思わないのか?」




この世のありとあらゆる汚い言葉をぶつけられ、蔑まれ続ける。

群れの中から阻害され、一人ぼっちでふらふらと彷徨うしかない。

自分の何が悪いのか、何故そんな風に傷つけられるのか、幼い頃の僕には分からなかった。

誰も説明してくれなかった。

でも、水面に映る自分の姿を見れば、僕がいじめられる理由は明らかだった。

この異形の姿を見れば、誰だって近寄りたくないに決まってる。

成長するにつれ、段々と心が麻痺していく。

どんな言葉で傷つけられようとも、何も感じなくなっていく。

殴られても、石を投げられても、痛くない。

一人ぼっちで生きていくのが当たり前。誰にも受け入れられないのが当たり前。

僕はこうして、永遠に孤独の中で生きていく。

望もうと望むまいと、それ以外に、僕に選択肢などなかった。

何も感じなくて良い。全て忘れてしまえば良い。

時折、息を吹き返したように傷口がぱっくりと開いて、酷く痛むこともあるけれど。

感情に蓋をしよう。何を言われても何も感じないように。

鏡に映る自分の姿に絶望しないように。

一人ぼっちで生きていけるように。

…その、はずだったのに。




「あなたと一緒なら、私はもう寂しいことなんてないわ」

僕は出会ってしまった。自分の孤独を埋めてくれる存在に。

これこそ、僕の真の過ちだったのだ。