神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

いろりは、まるで心配をかけたことを謝るように、にゃー、と一声鳴いた。

「よしよし、いろりちゃん。良い子だね~」

「餌やり当番、また再開しないとな」

「あ、じゃあ今日は私がやる」

「それなら、明日は私が…」

率先して、いろりの世話に立候補。

そいつ中身人間だから、別に世話をする必要はないのだが。

まぁ、そんな野暮なことは言うまい。

イーニシュフェルト魔導学院のマスコットとして帰ってきたからには、存分に生徒達に可愛がられてもらうぞ。

「皆嬉しそうで、良かったねぇ」

シルナもにこにこ顔である。

「本当にな。シルナにチョコケーキをもらうときより、ずっと嬉しそうだぞ」

「えっ!そんな、皆チョコケーキ…。…チョコケーキがいろりちゃんに負ける…!?」

負けるって言うか、もう既に負けてるだろ。

「そんなことないよ。チョコケーキだって、生徒達皆を笑顔にする魔法が使えるはずだ」

何言ってんのこいつ。

無駄に真剣な顔で。

「皆!いろりちゃんが戻ってきたお祝いに、チョコケーキ食べない?美味しいチョコケーキ!シルナと一緒に…」

生徒達の気を引こうとしたのか、シルナはチョコケーキで生徒を釣ろうとした。

…が。

「いろりちゃーん。ほらほら、こっちおいで」

「あ、ズルい。私が先に抱っこするんだよ」

シルナか声をかけたことにさえ、全然気づいてもらってない。

シルナ、敗北。

な?だから無理だって言ったろ?