神殺しのクロノスタシスⅤ〜後編〜

…すると、案の定。

翌日。

戻ってきたいろりの姿を見た、、生徒達の喜びようと言ったらなかった。

「ほら皆、いろりちゃんだよ。いろりちゃんが帰ってきたよ~」

シルナがそう言って、猫の姿になったマシュリ…いろりを皆に見せると。

生徒達は、歓喜の表情を浮かべてわらわらと集まってきた。

すげー。アイドルかよ。

「いろりちゃんだ!」

「帰ってきたんだ…!無事だったんですね!」

「良かったぁ。ずっと心配しててんだよ」

「戻ってきてくれて良かった…!」

中には、涙を浮かべる生徒もいるくらい。

大袈裟かもしれないけど、それだけ皆、いろりを心配してたってことだ。

これで分かっただろ?自分がどれだけ必要とされてたか。

…まぁ、猫の姿の自分を必要とされても、マシュリにとっては不本意かもしれないが。

少なくとも、天下の何処にも自分の居場所はない…なんてことはないぞ。

「学院長先生、いろりは何処にいたんですか?」

いろりの身体を撫でながら、生徒が質問してきた。

…聞かれると思ってたよ。

まさか、聖魔騎士団副団長を拉致監禁してました、とは言えないので。

シルナと二人で、言い訳を考えてきた。

「えぇっと…。学院の近所に住んでる住民が、昨日連れてきてくれたんだよ」

「え?何でそんなところに…?」

「どうやらいろりちゃん、学院の外にお散歩に出たのは良いけど、迷子になっちゃったみたいでね」

いろりみたいな賢い猫が、迷子になるはずがないけども。

今回はそういうことにしておこう。

「帰れなくなってたところを、その人が拾って、家で保護してくれてたらしいんだ」

「で、昨日の夕方、学院が迷い猫を探してるって話を聞きつけて、もしかしていろりのことじゃないかって、届けに来てくれたんだ」

シルナと共に、俺はそう説明した。

嘘八百なのだが、本当のことが言えない以上、こうとでも言っておくしかない。

「そうだったんですね…」

「良かった。親切な人に保護されてたんだね」

…生徒達は、特に疑いなく信じた模様。

純真な生徒達を騙すのは心苦しいが…納得してくれたようで良かった。