我がイーニシュフェルト魔導学院の校則では。
当然、学院の敷地内で生徒が勝手にペットを飼うのは禁止である。
学生寮の中も、動物の持ち込みは不可である。
従って、こんなところに猫がいるのはおかしい。
何か事情があったと考えるべきだろう。
「実は、その…この子は…」
困ったような顔で、もごもごと喋る女子生徒の代わりに。
「学生寮の裏に迷い込んでたんだって。それをこの人達が保護してさー。しばらく飼ってたんだよ。園芸部の倉庫で」
「餌は僕と『八千歳』が協力して、学院の食堂から失敬したり、近くのお店で買ってきたんだ」
すぐりと令月が、事の次第を簡潔に説明してくれた。
…成程…。
生徒が外から連れてきたんじゃなく、この猫が学院の中に迷い込んできたんだな?
「この猫…飼い猫か?それとも野良?」
もし飼い猫だったら、今頃飼い主が血眼になって探してるんじゃないか。
と、思ったが。
「首輪もないし、飼い主が探してるような気配もないし、多分野良猫なんじゃないかな」
令月がそう答えた。
野良猫なのか…。
まぁ、猫本人に確かめる訳にはいかないから、あくまで憶測だが…。
「…こいつか…」
銀色の猫を見て、俺はやっと得心が行った。
イレース達が、近頃生徒達が浮ついてると言ってたが。
それはこの猫のせいだったのかもしれない。
令月とすぐりの話を要約すると、つまり…。
「…俺達教師に隠れて、こっそりその猫を飼ってたってことだな?」
「…はい…」
女子生徒達は皆俯き、小さくこくりと頷いた。
…まぁ、潔く認めるんだから可愛いもんだ。
すると。
「羽久、そんな責め方しないであげて。この子達は猫ちゃんを守ってあげたかっただけだよ」
何故か、シルナが真っ先に生徒達を庇っていた。
あのな…お前はこの生徒達を叱らなきゃならない立場なんだって、分かってるか?
何故率先して庇ってるのか。
まぁシルナらしいとも言えるけど…。
「行き場のない子を見なかったことにするんじゃなく、叱られる危険を犯しても、保護して守ってあげてたこの子達の判断を、私は正しいと思うよ」
「…分かったよ」
それは俺だって、そう思ってるよ。
行き場をなくした猫を、厄介事に巻き込まれたくないからって見て見ぬ振りして。
結果、学生寮の裏庭で猫の遺体が見つかるようなことになったら…。
そっちの方が、叱られるよりずっと後味が悪いだろう。
生徒にとっても、俺達にとってもな。
だから、猫を保護して飼っていたことに関しては、俺も責めるつもりはない。
ただ、俺が言いたいのは。
「…何でこのことを、今日に至るまでずっと黙ってたんだ?」
何故、もっと早く打ち明けてくれなかったのかという点だ。
当然、学院の敷地内で生徒が勝手にペットを飼うのは禁止である。
学生寮の中も、動物の持ち込みは不可である。
従って、こんなところに猫がいるのはおかしい。
何か事情があったと考えるべきだろう。
「実は、その…この子は…」
困ったような顔で、もごもごと喋る女子生徒の代わりに。
「学生寮の裏に迷い込んでたんだって。それをこの人達が保護してさー。しばらく飼ってたんだよ。園芸部の倉庫で」
「餌は僕と『八千歳』が協力して、学院の食堂から失敬したり、近くのお店で買ってきたんだ」
すぐりと令月が、事の次第を簡潔に説明してくれた。
…成程…。
生徒が外から連れてきたんじゃなく、この猫が学院の中に迷い込んできたんだな?
「この猫…飼い猫か?それとも野良?」
もし飼い猫だったら、今頃飼い主が血眼になって探してるんじゃないか。
と、思ったが。
「首輪もないし、飼い主が探してるような気配もないし、多分野良猫なんじゃないかな」
令月がそう答えた。
野良猫なのか…。
まぁ、猫本人に確かめる訳にはいかないから、あくまで憶測だが…。
「…こいつか…」
銀色の猫を見て、俺はやっと得心が行った。
イレース達が、近頃生徒達が浮ついてると言ってたが。
それはこの猫のせいだったのかもしれない。
令月とすぐりの話を要約すると、つまり…。
「…俺達教師に隠れて、こっそりその猫を飼ってたってことだな?」
「…はい…」
女子生徒達は皆俯き、小さくこくりと頷いた。
…まぁ、潔く認めるんだから可愛いもんだ。
すると。
「羽久、そんな責め方しないであげて。この子達は猫ちゃんを守ってあげたかっただけだよ」
何故か、シルナが真っ先に生徒達を庇っていた。
あのな…お前はこの生徒達を叱らなきゃならない立場なんだって、分かってるか?
何故率先して庇ってるのか。
まぁシルナらしいとも言えるけど…。
「行き場のない子を見なかったことにするんじゃなく、叱られる危険を犯しても、保護して守ってあげてたこの子達の判断を、私は正しいと思うよ」
「…分かったよ」
それは俺だって、そう思ってるよ。
行き場をなくした猫を、厄介事に巻き込まれたくないからって見て見ぬ振りして。
結果、学生寮の裏庭で猫の遺体が見つかるようなことになったら…。
そっちの方が、叱られるよりずっと後味が悪いだろう。
生徒にとっても、俺達にとってもな。
だから、猫を保護して飼っていたことに関しては、俺も責めるつもりはない。
ただ、俺が言いたいのは。
「…何でこのことを、今日に至るまでずっと黙ってたんだ?」
何故、もっと早く打ち明けてくれなかったのかという点だ。


