「マシュリさん、入りますね」
件の誘拐犯は、本当に客室に案内されていた。
一人になった隙に、こっそり逃げ出したのではないかと危惧していたが…。
「…」
部屋の中には、やや小柄な青年がいて。
ちょこんと床に体育座りして、ぼーっと宙を見上げていた。
…。
…これが、シュニィを拉致した誘拐犯?
そして、人間と魔物のハーフだと言う。
全然そんな風には見えない。
何処にでもいる、普通の青年っぽいのだが…。
影武者…とかじゃないよな?
「大丈夫ですか、マシュリさん。何か必要なものはありませんか?」
誘拐犯とは思えない、お客様待遇である。
しかしマシュリという魔物は、首を横に振った。
そして。
「その人達は?」
シュニィと共に客室にやって来た、俺達のことが気になるようだ。
「こちらは…イーニシュフェルト魔導学院の学院長先生と、教師の方々…。それからアトラスさん…聖魔騎士団団長で、私の夫です」
と、シュニィが説明した。
すると、マシュリの顔色が変わった。
「夫…。家族…君の居るべき場所なんだね」
「…えぇ、そうです」
「また会えたんだね。…良かった」
…何だ?
シュニィとマシュリの間で、何やら含みのある会話が繰り広げられているのだが…。
とりあえず、俺達を見ても敵意丸出しで掴みかかってくる…様子はなさそうだ。
至って冷静、とても落ち着いているように見える。
そして。
シュニィの次に、マシュリはナジュの方をじっと見つめた。
お…?
「…?この匂い…」
マシュリが何かに気づいたようだ。
匂い?なんか匂いするか?
「あなたは…リリス様…?いや、でも姿が…」
「…御名答です」
…どうやら。
マシュリは、ナジュの中にいる魔物の存在に気づいたようだ。
まぁ、そりゃ気づくだろうな。
「僕の中にはリリスが…あなたのご主人様がいます」
今朝、ナジュが教えてくれた。
ケルベロスという種族は、冥界の女王リリスの眷属なのだと。
リリスがマシュリのことを知っていたのも、それが理由だ。
両者がまだ冥界にいた頃に、お互い顔を合わせたことがあるから。
「…リリス様…。リリス様が、何故そのようなところに…」
…当然の疑問だな。
だが、ナジュとリリスの関係をイチから話していたら、あっという間に日が暮れる。
気になるのは分かるが、その話は後回しにしてもらおうか。
「…それよりも」
早速、本題に入ろうじゃないか。
「お前がシュニィを誘拐した犯人…ケルベロスと人間のキメラ、だったな?」
「…そうだよ」
全く怯えた様子もなく、マシュリは素直に頷いた。
…そうか。
「僕が彼女を攫った。僕が計画を立てて、僕が実行したんだ」
否定することも、言い訳することもせず、あくまで自分の罪だと認めた。
その潔さは、称賛に値する。
だからって、犯した罪が許される訳じゃないがな。
件の誘拐犯は、本当に客室に案内されていた。
一人になった隙に、こっそり逃げ出したのではないかと危惧していたが…。
「…」
部屋の中には、やや小柄な青年がいて。
ちょこんと床に体育座りして、ぼーっと宙を見上げていた。
…。
…これが、シュニィを拉致した誘拐犯?
そして、人間と魔物のハーフだと言う。
全然そんな風には見えない。
何処にでもいる、普通の青年っぽいのだが…。
影武者…とかじゃないよな?
「大丈夫ですか、マシュリさん。何か必要なものはありませんか?」
誘拐犯とは思えない、お客様待遇である。
しかしマシュリという魔物は、首を横に振った。
そして。
「その人達は?」
シュニィと共に客室にやって来た、俺達のことが気になるようだ。
「こちらは…イーニシュフェルト魔導学院の学院長先生と、教師の方々…。それからアトラスさん…聖魔騎士団団長で、私の夫です」
と、シュニィが説明した。
すると、マシュリの顔色が変わった。
「夫…。家族…君の居るべき場所なんだね」
「…えぇ、そうです」
「また会えたんだね。…良かった」
…何だ?
シュニィとマシュリの間で、何やら含みのある会話が繰り広げられているのだが…。
とりあえず、俺達を見ても敵意丸出しで掴みかかってくる…様子はなさそうだ。
至って冷静、とても落ち着いているように見える。
そして。
シュニィの次に、マシュリはナジュの方をじっと見つめた。
お…?
「…?この匂い…」
マシュリが何かに気づいたようだ。
匂い?なんか匂いするか?
「あなたは…リリス様…?いや、でも姿が…」
「…御名答です」
…どうやら。
マシュリは、ナジュの中にいる魔物の存在に気づいたようだ。
まぁ、そりゃ気づくだろうな。
「僕の中にはリリスが…あなたのご主人様がいます」
今朝、ナジュが教えてくれた。
ケルベロスという種族は、冥界の女王リリスの眷属なのだと。
リリスがマシュリのことを知っていたのも、それが理由だ。
両者がまだ冥界にいた頃に、お互い顔を合わせたことがあるから。
「…リリス様…。リリス様が、何故そのようなところに…」
…当然の疑問だな。
だが、ナジュとリリスの関係をイチから話していたら、あっという間に日が暮れる。
気になるのは分かるが、その話は後回しにしてもらおうか。
「…それよりも」
早速、本題に入ろうじゃないか。
「お前がシュニィを誘拐した犯人…ケルベロスと人間のキメラ、だったな?」
「…そうだよ」
全く怯えた様子もなく、マシュリは素直に頷いた。
…そうか。
「僕が彼女を攫った。僕が計画を立てて、僕が実行したんだ」
否定することも、言い訳することもせず、あくまで自分の罪だと認めた。
その潔さは、称賛に値する。
だからって、犯した罪が許される訳じゃないがな。


