スクルトには、目前に迫る死を恐れる様子は全くなかった。

憎しみと怒りに歪んだ顔…じゃなかった。

代わりにスクルトは、微笑みを浮かべて両腕を広げた。

まるで、バケモノの僕を受け入れるように。

その口元が何かを呟いた。

あのとき、スクルトは僕に何と言った?

思い出せ。僕は聞いたはずだ。

きっと恨み言だと思っていた。

僕に裏切られたことを恨んで、僕を罵る言葉を呟いたに決まっていると。

でも、スクルトは笑っていた。

僕の罪を、自分の運命を全て受け入れて。

人生の最後に、僕に伝えようとしたことは…。






『…大丈夫よ、マシュリ』

スクルトの、最期の言葉が。

幾星霜時を経て、今ようやく僕に届いた。

『あなたには…私達には、幸せな未来が待ってるわ』