「…」

シュニィ・ルシェリートは無言だった。

言葉を発する代わりに、彼女はぽろぽろと涙を流していた。

…おかしな人だ。

「…何で、君が泣くの?」

「だって…だって、そんなの…あんまりじゃないですか。いくらなんでも…辛過ぎる」

本当に、おかしな人だね。

「人間の身にはそうかもね。でも…僕はバケモノだから」

人間でも魔物でもない、どっちつかずの半端者。

幸福になることを、居場所を求めることを許されない罪人。

そんなバケモノには、これくらいの扱いが丁度良いだろう?

「これで分かったでしょう?」

僕に居場所なんてあっちゃいけない。許されてはいけない。

…だから、そんな風に優しい言葉をかける必要はないんだ。

僕の為に涙を流す必要なんてないんだ。

僕は…口汚く罵られ、唾を吐きかけられるべき立場であって…。

「永遠に…ずっと一人で…生きていくべき存在なんだよ」

決して夢なんて見ない。希望なんて持たない。

大切にしていた全てを、自分の手で八つ裂きにする。

あの深い絶望感に襲われるくらいなら、いっそ僕は…。



…それなのに。



シュニィ・ルシェリートは、涙に濡れた瞳で僕を見つめ。

「…本当に、あなたは憎まれていたんですか?」

「…え?」

突然、僕にそんな質問をした。