社内恋愛を始めたところ、腹黒上司が激甘彼氏になりまして

「ねぇ、僕が一番喜ぶものは百貨店には売ってないよ。というより、どこにも売ってない。だって君なんだから」

「ぶ、部長! あ、あの、いきなりそんなーーそうだ! フレンチトーストを食べに行きましょうよ、この間食べられなかったし」

「フレンチトーストも甘くて美味しいけど、ね? 僕は君を食べーーぷっ」

 茹でたみたいに熱くなる頬の側で吹き出される。

「酷い! からかったんですね!」

 照れ隠しで包容を解き、睨む。

「あはは、すまない。君があんまりにも可愛いから、つい。睨んだ顔も可愛いよ」

「可愛い、可愛いって。私をそんな風に言うの、部長くらいですよ!」

「僕だけで充分でしょ? 他の奴が思おうと言わせてやらない。僕だけが梨里を愛でればいい。違うかな?」

「っ、違いませんけど。私も部長にだけそう言われたい」

「そうだろう、そうだろうとも。飽きるくらい言ってあげるからね」

 ポーカーフェイスが型なし。ひたすら甘い口説き文句に溶かされる。

「それでは僕の可愛い彼女さん、デートの支度をしておいで。三十分後、駅前で落ち合おう。そうそう、朝霧には宜しくと伝えてくれ」

 荷物をまとめ、今日は退社をするよう急かす。そのまま有無を言わさず廊下へ送り出された。