ウジウジ悩んでも仕方がない。ここは仕事への意気込みを添えておこう。

「今日は失礼な真似をして申し訳ございません。昇進は叶いませんでしたが腐らずに、これからも精進して参ります」

 口に出しながら打ち込む。もはやテンプレートでも、こうする他ないよね。
 送信しながら山猫のぬいぐるみを手に取り、尋ねてみる。

「会議から戻ってきた朝霧君がね、私を見て部長には気をつけろって言ったんだよねぇ。あなたは何を言ったのかしら?」

 ぬいぐるみを部長に見立てて会話をするなど寒々しいと分かっている。それでも苦労して収集した『ねぇかわ』グッズに囲まれると安心できた。彼等は生活の一部となり、その日あったことなど話したくなって。

 あれだけ悩み抜いても送信は一瞬。返事は望んでいないので入浴して、寝てしまおう。今日は精神的にも肉体的にも疲れた一日だったから。

 『ねぇかわ』柄のパジャマを抱え浴室へ向かおうとした時ーーピコンッ、返信の音がする。

「えっ……」

 なんと部長が返事を寄越す。