(これから、よろしくね♪私の赤ちゃん)

お腹の中の赤ちゃんに話しかけるように、お腹を撫でた。

「名前どうしよう...」

「名前ねぇ。瞳はどんな名前を付けたいとかあるん?」

「うーん。龍希とか、優人とか?」

「はぁ、却下!もう、お母さんが決める」

「付けたい漢字とか、ある?一応聞いとくわ」

お母さんが、スマホで赤ちゃんの名前を検索しながら話した。

「大っていう字を付けたい」

「うーん、やったら大和とか、大河とかやな」

お母さんは、真剣に考えていた。

私も、私なりに考えていた。

「瞳!大河は?画数もいいし、描きやすいし」

「大河....いいね!」

赤ちゃんの名前が、ようやく決まった。

「大河?聞こえる?ママの所にきてくれてありがとう」

私が、お腹の中にいる大河に話しかけた。

そしたら、ポコポコ蹴ってくれた。

「お母さん!今、蹴った!」

「えっ?どれどれ?大河〜ママ子だよ〜」

お母さんの声にも、反応してポコポコ蹴った。

「元気な証拠だね!」

「てか、お母さん?」

「ん?」

「なんでママ子?」

私は、恐る恐る聞いた。

返ってくる答えは、わかっていた。

「おばあちゃんって呼ばせる訳ないやん!まだお母さんは、おばあちゃんじゃないし!」

「そっか」

苦笑いした私を、見てお母さんはお腹の中にいる大河に話しかけていた。

あれこれ色々していたら、あっという間にお産時期に入っていた。

陣痛と破水が始まった。

その頃は、お祭りの最終日でもあってタクシーも救急車も出ていた。

病院の指示で、歩いて行くことになって痛さのあまり歩くのもやっとだった。

ようやく、病院に着くなり看護師に怒鳴り散らしたお母さん。

大河と、私に何かあったらどうするから始まった。

私は、痛さのあまりそこまでの記憶しかなく
車椅子で、分娩室へ行った。

「痛い〜」

「お母さん、頑張ってもう少しだよ」

分娩室で、お産の戦いが始まった。

次の日の、朝方に大河が生まれた。

元気に、泣いていた。

私は、ホッとして涙が出て止まらなかった。

(あっ、写真....)

私は、携帯を手にとり大河と一緒に写真を撮ってお母さんに送った。

数分後に、お母さんから電話が来た。

『もしもし?瞳!』

「もしもし」

『あんた、ケーキどんすの?』

「あっ....」

そう。弟の誕生日と一緒の日に、大河が生まれた。

「ケーキは、何とかなるやろ」

予想以外の、言葉だったけど「良く頑張ったね!」「おめでとう」って気持ちは伝わった。