私の声と君の音

『ごめんね。』

私はその子に背を向けて歩く。

そして、既視感のある、後姿を見つけた。
うそだうそだ、あの子なわけがない。
絶対に違う。
頭では違うって分かってるのに、私の体は信じるのをやめない。
勝手に足が動いて、前の男の子の腕を掴む。
その子はびっくりした様子で、振り向いた。

あー、そうだ、この子だ、
ピアノの上手な男の子。
なんでこんなとこにいるんだろう。

『優也。』

鈴音 優也。
私はいつも彼のピアノを聴いていた。
感情のこもってない音だったけど、綺麗だった。
ずっとこの子の伴奏でフルートを吹きたいと思っていた。