私の声と君の音

『偶然ですね。』

『偶然なのかな、苗字は、』

『林太郎くんですよね?』

私は林太郎くんの言葉を遮るように聞いた。

『え、あ、うん、高橋 林太郎。』

『林太郎くん、私もう行きますね。』

『え、ちょっとまっ、』

『失礼しました!』

私は逃げるように音楽室を出た。
走りたくないのに、階段を駆け下りる。
息が苦しくなって、視界がぼやける。
あ、これやばいやつだ。
どうしよう、駿。

『愛華っっっ!!』

私は遠くで自分の名前を呼ばれたけど、誰かは分からなかった。
多分駿だろう、いつでも助けてくれるから。
私は目をつぶった。