キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

会って抱きしめて『乗り越えられるから大丈夫』って、言って欲しい。


『……じゃあ、明日行くから』

「はい。お待ちしてます」

『あとで場所、教えてな』


「わかりました」と言うと、切られた通話。


……まだ、耳が熱い。
まるで高校時代に戻ったかのような、甘酸っぱいこの気持ち。

いい年して恥ずかしいけれど、こんな気持ちになれるのはきっと最後。
これが、私にとって最後の恋になると思うから。


「あ、お母さんに言っておかないと……」


さっきまでの憤りもすっかり忘れて私はリビングへと戻ると、母に明日のことを伝えたのだった。


* * *

そして翌日。いつもより早く目覚めた私は、洗面台でメイクをしていた。

約2週間ぶりのメイク。
ピンク色のニット帽は被ったままだけれど、久しぶりにするメイクはやっぱりテンションが上がる。


昨日、五十嵐先生が家に来ると言うことを母に伝えると、驚きを隠せていない様子だった。

急にバタバタし始めたかと思うと、家の掃除を済ませ、慌てて買い物に出かけて行く母。しばらくすると焼き菓子を手にした母が帰宅し、リビングの整理整頓まで始めた。

あまり動けない私は自室で読書をしていたけれど、夕食の時間になりリビングへ戻ったときは、信じられないくらいピカピカになっていた。