キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

『おーい、矢田?』

「あ……あの。今朝、ちょっと脱力感みたいなのがあって……」

『そうか。今は?』

「今は平気です。スマホも持ててますから」


今朝自分の身体に起きたことを隠さず話して、少しだけ肩の荷が下りたような気がした。

でもきっと、彼のことだ。
「明日は辞めようか」と言うに決まっている。

ドクターなんだもの。私に、無理はさせないはずだ。


『そう。矢田、明日なんだけどさ』

「……はい」

『矢田の家、行ってもいいか?』

「はっ!?」


突拍子もないことを言われて、声が裏返った。

家に? 彼が家に来て、なにをするというの?
というか、外出の話は……。


『いや……変な意味じゃないぞ? ただ、葵に無理はさせたくなくて』


「葵」と、初めて彼が下の名前で私を呼んだ。
それにも驚いて、急に心臓がドキドキと早鐘を打ち始める。

ほんの数分前までは「矢田」だったかと思えば、サラッと呼び捨てで名前を呼ぶ彼。

こんなのもう、ドキドキしないわけがない。


『ダメか?』

「……ダメ、じゃないです」


断る理由なんてない。

だって、私も。
私だって、彼に会いたいーー。

ちゃんと顔を見て、話がしたいよ。
電話だけで会えないなんて、そんなのもどかしすぎる。