キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

こんなこと、思ってはいけないのに……。

嫌な気持ばかりが、次から次へと湧いてくる。


「葵、五十嵐先生に連絡……」

「しておくよ。食事はもう、いらないから」


椅子から立ち上がって少し大げさにリビングのドアを閉めると、自分の部屋に戻った。

今まで出来ていたことが、突然できなくなったもどかしさ。
明日の予定がつぶれたことの悲しさ。

色々な想いが混ざって、とても複雑でーー。


「……ムカつく」


勢いよく、スマホをベッドの上に投げつけた。

スプリングによってスマホは跳ね返り、鈍い音と共に床に落ちる。

と、スマホが落ちたのと同時に画面が変わり、着信を知らせた。
慌てて画面を確認すると、そこには〝五十嵐先生〟の文字。

え? こんな時間に、どうして?
しかも、まるで私の今の気持ちを読んだかのようなタイミングで……。

ドキドキしながらも通話ボタンを押して、スマホを耳に当ててみる。


『もしもし。矢田?』


なんだか懐かしい、低い声。
でも……今、私が1番聞きたかった人の声ーー。


「……はい」

『どうした? 体調でも悪いか?』


私から連絡をしたわけではない。
でも、私の辛さをわかってなのか、先に『どうした?』と聞いてくれる彼の鋭さ。

私の病気を理解してくれている彼には……五十嵐先生には、なぜか甘えたくなってしまう。