葵がいなくなってから、5年が過ぎた12月――。
冬なのに、なぜかいつもこの時期は晴れる。
やっと、今の生活にも慣れてきた。
葵と過ごしたのは36年生きてきた中でほんのわずかだったけれど、俺にとってはかけがえのない日々だった。
俺が心から愛した彼女は、今でもずっと俺の心の中にいる。
それはずっと、変わることはないだろう。
「せんせー、おはよう」
時刻は9時を少し過ぎたところ。
ナースステーションで仕事をしていると、俺のことを呼びながらこちらへ近づいてくる小さな姿が見えた。
手を止めて、そちらへ視線を向ける。
「五十嵐先生、おはようございます」
「あぁ……もうそんな時間なのか」
現れたのは、看護師の森脇。と、その子ども。
〝羽玖〟と名乗る男の子は、葵がいなくなる少し前に産まれた子だ。
5歳になり、俺のこともしっかりと理解しているよう。
「先生、休みなのにわざわざ仕事してなくても」
「いや、少し気になったことがあったから確認しに来ただけだ。すぐ行く」
電子カルテに必要事項をササっと入力し、席を立った。
今日は、葵の命日。
森脇たちと時間を調整し、葵の自宅へ行く予定なのだ。
冬なのに、なぜかいつもこの時期は晴れる。
やっと、今の生活にも慣れてきた。
葵と過ごしたのは36年生きてきた中でほんのわずかだったけれど、俺にとってはかけがえのない日々だった。
俺が心から愛した彼女は、今でもずっと俺の心の中にいる。
それはずっと、変わることはないだろう。
「せんせー、おはよう」
時刻は9時を少し過ぎたところ。
ナースステーションで仕事をしていると、俺のことを呼びながらこちらへ近づいてくる小さな姿が見えた。
手を止めて、そちらへ視線を向ける。
「五十嵐先生、おはようございます」
「あぁ……もうそんな時間なのか」
現れたのは、看護師の森脇。と、その子ども。
〝羽玖〟と名乗る男の子は、葵がいなくなる少し前に産まれた子だ。
5歳になり、俺のこともしっかりと理解しているよう。
「先生、休みなのにわざわざ仕事してなくても」
「いや、少し気になったことがあったから確認しに来ただけだ。すぐ行く」
電子カルテに必要事項をササっと入力し、席を立った。
今日は、葵の命日。
森脇たちと時間を調整し、葵の自宅へ行く予定なのだ。