キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

もっと大きなキャンバスには、どんな世界が広がっているのだろう。

期待に、胸が膨らんでいく。


「葵、入場券ありがとうな」

「いえ。それより、早く中に入りましょう」


匠真の手を取り、入場券をゲートに通した。

入ってすぐに目に入った絵画は、彩り鮮やかな花の絵画。
『色彩の魔術師』と呼ばれている有名な画家なだけあり、様々な色がバランスよく使われている。


「きれいだな」

「……来てよかった」

「おいおい。まだ入ったばかりでそれは早いだろ」

「え、そうですかね? でも、こんなに間近で見れて嬉しいです」


そんなことを言いながら、順路に沿って様々な絵画を見ていく。
『愛』をテーマにした絵画が数多くあり、どれも目を引くものばかりだった。

そして、その中でもひと際目立つ有名な絵画。

その絵画の前で、私は立ち止まったまま動けなくなった。


「葵?」

「これ……私が1番好きな絵」


匠真も、私の視線の先に目を向ける。

『誕生日』というテーマで描かれているその絵画には、愛し合う男女がキスをしている。


男性の誕生日に花をプレゼントした彼女。

宙に舞い上がるほど嬉しくて、彼女にキスをする彼――。

でも、少し暗い彼の表情。
結婚を目前に控えていた2人だけれど、両親は2人の結婚を反対していたのだとか。