キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

『やっぱり、難しいか?』

「い、いえ。そうじゃなくて、嬉しくて……」

『ならよかった。遠出はできないけど、どこに行きたいか考えておいてくれ』

「はい。わかりました」


私がそう返事をすると『それじゃあ、また明日』と言って、電話を切ってしまった匠真。

きっとまだ、仕事が立て込んでいるのだろう。

通話を終えてリビングへ戻ると、母がニコニコ笑顔で待っていた。
この笑顔……話の内容を知っていそうだ。

なにを言われるかドキドキしながら、私は椅子に腰かけて紅茶を口に入れた。


「葵、出かけるの?」

「ゔぅ……き、聞いてた? よね……」

「聞いてたもなにも、あんた声が大きいから」


……それもそうか。
あんな大きい声で叫んでおいて、聞こえていないわけがないか。


「葵、行っても構わないけど、体調を優先してね。これだけは約束」

「それは……もちろん。約束する」


私の返事を聞くとにっこり笑って、飲み終わったコーヒーカップを持ってキッチンへと向かう母。

そうか。いくら体調が安定してきているからといって、安心してはいけない。
母はきっと、それを心配しているんだ。

でも、絶対に心配をかけることだけはしたくない。
それだけは、ちゃんと守ろう。

母の背中を見てそんなことを考えながら、私は自室へと向かった。