キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

いつもなら点滴が終りそうな時間になると連絡が入る。

18時前に治療が終わってからスマホを確認したけれど、メッセージは受信していなかった。
案の定、手術が長引いているのだろう。

15時開始の4時間予定だと予定表には記載してあったけれど、予定は未定。

でも、こればかりは仕方がない。
むしろ手術が長引くであろうと予想していた私は、そのまま帰宅した。

食事を済ませ、母が淹れてくれた食後の紅茶を飲みながらクッキーを口にする。


「葵、体調はどうなの?」

「平気。治療も、上手くいってるみたい」

「そう、よかった。五十嵐先生のおかげね」

「本当そう思う。彼が主治医で心強いもん」


そう言いながら、クッキーを紅茶で喉の奥へと流し込む。

コーヒーを口にすることはなくなったけれど、少しずつ食欲も回復してきた。抗がん剤治療のペースも月に2回となり、癌細胞も小さくなってきている。

私がここまで回復したのは、間違いなく匠真のおかげだ。

そんなことを考えていると、テーブルに置いてある私のスマホが着信を知らせた。
画面には、『匠真』の文字。

『オペが終ったら話したいことがあるから連絡する』と言っていたから、きっとそのことだ。


「ごめん、電話出るね」


コーヒーを飲んでいる母にそう伝え私は席を外すと、リビングの外へと出る。