キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

「全身麻酔の準備も整ったらしい。今から長丁場だ」


スマホをポケットに入れてそう言った匠真。

今日はこれから、脳腫瘍摘出術の予定だ。
人間の脳の神経は数多く、それを傷付けないように手術をするためとても時間が掛かる。

匠真と浦邉先生、脳神経外科のドクター3人でオペに入る予定らしい。

なにか1つでも間違いを起こすと、再生不可能とされる人間の脳。

脳の手術は執刀医、助手ともに神経を使う手術で、術後はいつもヘトヘトになって外来に戻ってくるのだ。


「頑張ってくださいね。私も、治療頑張ります」

「あぁ、ありがとう。手術が終ったら、話したいことがあるから連絡する」

「はい。連絡お待ちしてます」


そう言った私の唇に優しく触れるだけのキスを落とした匠真は、薬剤倉庫から出て行ってしまった。

匠真が出て行って少ししてから、私も薬剤倉庫を出る。

あぁ……。幸せ。
隠れてキスとかして、真面目に仕事をしているみんなには少し申し訳ない。

私、顔に出たりしていないかな。

そんなことを心配しながら外来に戻ると、途中になっていた書類の下書きに取り掛かる。

すべての仕事をきちんと済ませてから、私は治療のために化学療法へと足を運んだ。


* * *

その日の治療が終ってからは、匠真と顔を合わせることがないまま帰宅した。