キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

さすがに人目につくような外来で、襲われることなんてことはないと思う。

でも、もし無理に腕を引かれたりしたら、女である私が敵う相手ではない。
だから怖かったのだ。


「ありがとうございます」

「いや、なんとなく嫌な予感がしたというか。なんだろうな」


私を抱きしめたまま、照れくさそうに笑った匠真。
言われてみれば、ブルーのオペ着に白衣を着ているという謎の恰好だ。

ただならぬ気配を感じ取って、わざわざ外来に来てくれたのだろう。

だってまだ、2件目のオペは終わっていないはずだから。


「2件目のオペ、行かないと。患者さんが待ってますよ」

「……あぁ、そうだな。でも、葵が心配だ」

「私は大丈夫。この後ケモ室で治療だし、1人ではないです」


「それなら安心だな」と、私の額に優しくキスを落とす匠真。
普段の匠真からは想像もできないくらいの愛で、私を包み込んでくれる。

私もキスがしたい……そう思って背伸びをしたとき、匠真の胸ポケットにある院内用のスマホが震えた。

驚いて、何事もなかったかのように元の姿勢に戻る私。


「すまない。多分、オペ室」


そう言いながら電話の対応をしている匠真の表情は、一瞬にして仕事モードに切り替わった。

この切り替えの早さには、毎回驚かされる。