キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

でも、ここはまだ人通りの多い放射線科の前。こんなところにいたら、通行人の邪魔になってしまう。


「葵、こっち来て」


匠真にそう言われ、言われるがままついて行った場所は薬剤倉庫。

この人気のない場所に設置されている薬剤倉庫は、主に抗がん剤が置かれている場所だ。
ほかの薬剤とは取り扱い方が異なるため、かなり厳重に管理されている。

夏だというのに、少しひんやりとしている倉庫。

私も、森脇さんに薬剤を運んで欲しいと頼まれて何度か入ったことがある。

倉庫内の電気を点けた匠真は私と向き合うと、掴んでいた方の腕に触れた。


「ごめん。痛かったよな」

「えっ……まぁ、今は大丈夫です」

「いや、悪かった。みっともないよな、俺」


そう言った匠真は、頭を掻いている。

私は、彼の言葉に首を横に振ってから、ぎゅっと匠真に抱きついた。

みっともない? そんなこと、思うはずないのに。
だって、さっきは本当に困っていた。

外来で大声を出すわけにもいかないし、逃げるに逃げられなかったし。

ベストタイミングで匠真が助けてくれて、本当によかった。


「……みっともなくなんてないです。来てくれて、嬉しかったから」

「葵……」

「どうすることもできなくて、怖かったから」