キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

そんなことを思いつつ、大貫先生との間に少し距離を取ったそのとき。


「おい、なにしてる」


聞き慣れた、低い声。
『誰だろう』なんて、確認する必要もないくらい、誰の声なのかすぐにわかった。

ーー匠真だ。

私と大貫先生の間に入り込んだ匠真。
彼の顔は見えないけれど、声のトーンからして怒っていることが窺える。

でも、まだ2件目のオペは終わっていないはずなのに。

どうしてここにいるんだろう。


「なんだ。五十嵐じゃないか」

「大貫先生、俺の彼女に手を出してもらっては困ります」

「え? あぁ、そうなの。知らなくて」

「すみません。誰にも話していないので」


「へぇ、秘密の恋なんだ」と言った大貫先生を、匠真が鋭い目で睨みつけた。

そのままなにも言わずに私の腕を掴んで、外来の外へと連れ出されてしまう。

……怒ってる、よね?
だって、自分の彼女がほかの男性と至近距離で話していたら、いい気はしないだろう。

それに、今私の腕を掴んでいる力の強さ。
少し、痛いくらいだ。


「待って、匠真。う、腕が……痛いです」


さすがに痛くて、途中で匠真に声を掛けた。

私の声で我に返った彼は「あっ、すまない」と私の方を振り返って、掴んでいた腕を解放してくれる。